アビリーンのパラドックス

ある八月の暑い日、アメリカ合衆国テキサス州で団欒中の家族の一人が53マイル離れたアビリーンへの旅行を提案した。 誰もが(提案者でさえも)その旅行を望んでいなかったが、皆、自分以外の家族は旅行をしたがっていると思い込み、誰もその提案に反対しなかった。 道中は暑く、埃っぽく、快適ではなかった。 提案者を含めて誰もアビリーンへ行きたくなかったということを知ったのは、旅行が終わった後だった。