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秘密保護法を巡る狂騒

著名人の発言

故金大中・元韓国大統領が1973年に東京都内のホテルで拉致された事件に、自衛隊の秘密組織が関与していた――。こんな仮説に基づいた映画「KT」を2002年に発表しました。非公開の資料を集め、秘密を知る人物に接触して話を聞きました。政治決着で捜査が打ち切られ、闇に葬られた事件の真相にフィクションの形で迫った のです。あの時は撮影前から自宅周辺に何者かが張り込み、プロデューサーには「脚本を見せてほしい」と電話がありました。「権力者の触れられたくない所に 触れている」と実感しました。埋もれた事実に光を当てて表に引きずり出し、フィルムに焼き付ける。それが僕らの仕事です。でも、これからは法の裁きを恐れて関係者が口を閉ざし、機密がテーマの作品は生み出されなくなる。僕自身も逮捕されてしまうかもしれません。国が政策を決める際は過去の歴史的事実から学ぶことが必要です。もし権力の過ちが「秘密」になれば、検証すらできなくなります。特定秘密保護法は廃止し、ゼロから国民主体で議論するべきです。与党は国会で採決の強行を繰り返しました。逆説的ですが、良かったと思っています。強引な手法で多くの国民の心に怒りの火がともりました。国民は 今後、集団的自衛権の行使容認や憲法改正へ政府・与党が暴走するのを許さない。僕らは与党を退場させる権利も持っているのです。

日本弁護士連合会