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04/09/07 平成16年9月7日「食品に関するリスクコミュニケーション(リスク分析
         の概念を踏まえた食品安全行政の取組や健康食品についての意見交換会)」
         議事録


           食品に関するリスクコミュニケーション

              リスク分析の概念を踏まえた
        食品安全行政の取組や健康食品についての意見交換会


        日時 平成16年9月7日(火)午後1時00分~4時30分
        場所 盛岡グランドホテル

 1 開会


〇広瀬企画情報課長補佐
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから食品に関するリスクコミュニケーシ
ョンを開催したいと思います。私は、本日司会を務めさせていただきます厚生労働省医
薬食品局食品安全部企画情報課の広瀬と申します。よろしくお願いいたします。
 初めに、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元に1枚紙で本日の
議事次第をお配りさせていただいているかと思います。資料の方は、資料1から5番ま
で、参考資料の方が8点ほどございます。資料1は、「リスク分析の枠組と食品安全委
員会の取組について」、資料2が「「健康食品」の賢い選び方」、資料3が「食品に関
するリスクコミュニケーションにおける事前意見・質問について」、資料4が「岩手県
食の安全・安心に関する基本方針〔概要版〕」、資料5が「岩手県食の安全・安心アク
ションプラン〔概要版〕」でございます。参考資料の方ですが、「食品の安全確保に関
する取組」、それから2点目が「食品の安全性に関する用語集」、3点目が「食の安全
・安心のための政策大綱」、4点目が「食の安全・安心トピックス」、5点目ですが、
「安心を食べてほしいから。見守っています、食の安全(パンフレット)」、それから
6点目ですが、「遺伝子組換え食品の安全性について(パンフレット)」になります。
7点目が「食生活指針について(パンフレット)」、8点目が「食品安全〔創刊号〕
(食品安全委員会の季刊誌)」になります。もし不足等ございましたら事務局、もしく
は受付の方までお申し出いただければと思います。
 続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。まず、厚生労働省大
臣大臣官房、松本義幸参事官よりごあいさつを申し上げた後、基調講演として「リスク
分析の枠組と食品安全委員会の取組について」というタイトルで内閣府食品安全委員
会、小泉委員委員よりご講演いただきます。所要時間は40分程度を予定しております。
 続きまして、「「健康食品」の賢い選び方」につきまして、独立行政法人国立健康・
栄養研究所、田中平三理事長よりご講演いただきます。こちらも40分程度のお時間を予
定しております。
 その後10分間の休憩をいただきまして、2時40分をめどにパネルディスカッションに
移らせていただき、その後全体についての意見交換を行うこととしております。
 なお、会場の都合上、16時30分ごろには終了させていただきたいと存じますので、あ
らかじめご了承いただきたく存じます。


 2 挨拶


〇司会
 それでは、松本参事官、ごあいさつをお願いいたします。

〇松本参事官
 皆様、こんにちは。ただいまご紹介いただきました厚生労働省で食品安全の担当をや
っております松本であります。10年前にこちらの県の環境保健部長で食の安全を担当し
ておりました。今厚生労働省に帰りまして、食の安全をつかさどる立場でございまし
て、本日の食品に関するリスクコミュニケーションに当たりまして、一言ごあいさつを
申し上げます。
 今から3年前の平成13年の9月に日本で最初のBSEが発生いたしました。その後い
ろいろ混乱をきわめましたけれども、そのときに食品安全、食品行政のあり方について
大変批判が厳しくありました。その反省に立ちまして食品安全基本法という法律もでき
ましたし、食品衛生法も50年ぶりの大改正を行いました。また、組織的には、昨年の7
月1日から内閣府に食品安全委員会が設けられまして、農林水産省には消費・安全局が
できました。また、厚生労働省には食品安全部ができたわけでございまして、法律の成
立あるいは組織の改正ということが行われてきたわけです。その中で言われましたの
は、食品安全につきましてはリスク分析の手法に基づいて進めていくということで、詳
しくはこの後、小泉委員の方からご説明がありますけれども、その中でリスクを評価す
る一方、それに基づいてできるだけリスクを減らすという、そこでの政策をやるという
リスク管理という考え方、さらには政策の途中、決定する節目節目、あるいは政策の効
果がどうであるかということを皆さん方と、関係者と意見交換というリスクコミュニケ
ーションの3本柱で進めていくということでやってきたわけです。
 この間いろいろ食品にかかわります問題ありましたけれども、この観点に立ちまして
いろんな情報提供もやってまいりましたし、このリスクコミュニケーションも昨年7月
から全国で30カ所以上やりました。本日盛岡でのリスクコミュニケーションもその一環
ということでございまして、これは行政の側から一方的に説明するというものでもあり
ませんし、あるいは説明した後皆さん方からの質疑応答だけということでありません。
やはり生産、農場から台所までというところで、生産者あるいは流通にかかわる方、あ
るいは消費者の方、またそれの段階、段階の行政の関係者、あるいは研究者の方々等々
いろんな意見をお持ちだと思います。その意見を出し合って、いろんな立場の方がいろ
んなことをお考えだということで、相手を理解してもらうということが最終的な目標で
ございまして、だれかを論破するとか、そういうことでありません。ですから、後半の
方にリスクコミュニケーションで皆さん方から、一人でも多くの方からいろんな意見を
出していただいて、いろんな人がいろんな意見をお持ちだということで、その意見で相
手を理解し、よりよい食品安全ということについてつなげていきたいというふうに考え
ておりますので、活発なご討論をお願いしたいと思います。
 これから3時間ちょっとでございますけれども、皆さん方の熱心な議論をお願いいた
しまして、簡単ではございますけれども、あいさつとさせていただきます。

〇司会
 ありがとうございました。


 3 基調講演


    ○リスク分析の枠組と食品安全委員会の取組について
                     内閣府食品安全委員会委員  小泉委員

〇司会
 続きまして、内閣府食品安全委員会、小泉先生より「リスク分析の枠組と食品安全委
員会の取組について」にご講演をいただきます。
 小泉委員は、神戸大学大学院医学研究科博士課程を修了され、長年公衆衛生学に関す
る研究に携わられていらっしゃいます。最近まで兵庫医科大学公衆衛生学講座の教授と
してご教鞭をおとりになられていらっしゃいましたが、昨年7月に内閣府食品安全委員
会の常勤の委員に就任されました。
 小泉委員、よろしくお願いいたします。

〇小泉委員内閣府食品安全委員会委員
 ありがとうございました。食品安全委員会の小泉でございます。今紹介していただき
ましたように、私昨年6月末まで大学で公衆衛生学を教えてまいりまして、そんな中で
予防医学ということで、食品を安全に皆様方に供給する安全性の評価という部門で活躍
することになりました。
 それでは、お願いいたします。
 まず、食品の安全とか安心の背景ということでございますけれども、非常に変わって
まいりまして、例えばこういった利便性を追求するということで、新しい農薬がどんど
ん開発されてきました。当時、昔我々が子供のころでいいますとDDTとかBHCと
か、非常に残留性の高い、あるいは毒性の強いものでございましたが、今は新規農薬、
非常に分解性が速くて毒性が弱いというようなものがどんどん開発されてきておりま
す。それは、ある意味では非常に利便性がよくなっているということ、また添加物、あ
るいはバイオ技術、遺伝子組み換え食品とかということで、毒性があるのではないかと
いう反面、これも一つの利便性という形でどんどん発展、開発されてきております。
 それから、もう一つは、食のグローバル化、いわゆる日本の食品自給率、カロリーベ
ースで40%ということで、輸入食品が非常に増加してきています。飼料、肥料について
も多くなっているということは、いろんな世界じゅうのものが口に入るということで、
安全性の問題や、また非常に安価でいろんなところのものが食べられるという、いろん
な利便性の面もございます。
 それから、もう一つは、新たな危害要因が出てきたといいますのは、今まで動物と人
というのはある程度のすみ分けがありましたが、非常にかなり近接的に居住するという
ことで、人獣共通感染症、こういったものがかなり問題になってきております。例え
ば、これは人為的なものですが、BSE問題、それから高病原性鳥インフルエンザとい
ったものが、本来鳥だけであったものが人にうつったりとか、あるいはこれ以外に常在
菌として、例えばリステリアとか、そういったものが人間に危害を及ぼすといったよう
なことが増加してまいりました。それからまた、突然変異を起こしたり、あるいは本来
ならば悪さをしないような常在菌、動物の腸管の中にあるようなものが食中毒の原因に
なるというようなことがふえてまいりました。例えば突然変異で大腸菌のO157とか、
あるいはカンピロバクターといったもので食中毒が発生してくるようになっておりま
す。
 それから、これは分析技術の向上、これは何を言いたいかといいますと、今までに食
品の中にはほとんど見つからなかったものが、分析技術が上がることによって調べれば
必ず見つけることができる。見つけたらすべて危険かどうかということを非常に不安に
思う消費者がふえてきておりますが、そうではなくて検出感度は科学の発達とともにど
んどん上昇してまいります。ということで、見つかるということイコール危険というこ
とではないのだということを皆様に理解していただきたいということです。残留がゼロ
ではないということがもう非現実的になってきたということでございます。
 こういった中で、やはり食の安全ということをいろんなところから分けて評価してい
くことが必要となります。今まで厚生労働省あるいは農林水産省で評価していたもの
を、やはり新しい分析手法に従って安全性を評価する、リスク分析手法というのが導入
されてまいりました。世界でもFAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員
会)では、食品の安全性の問題に関する国内法、日本でもいろんな国内法ができており
ますが、それを制定、改廃する際にはリスク分析の原則を採用をしてください。このこ
とについては後ほど言いますが、いわゆるリスク分析手法を用いて食品の安全性を評価
してくださいということを勧告いたしました。こういうことを受けて、海外でも我々の
食品安全委員会と同じように、フランスではフランス食品衛生安全庁というのが1999年
設立されておりますし、また欧州でも食品安全機関、それからドイツでもリスク評価研
究所というのが、独立して安全性を評価する機関としてできてまいりました。
 そういった中で、食品安全委員会が今言ったような役割を果たすということになりま
した。このリスク分析手法というのは何かといいますと、まずこの下見ていただきます
と、人の健康に及ぼす影響の大きさ、いろんな食品の中には今言いましたような危害を
及ぼすような要因があります。それがどれぐらい強いものなのか、あるいはそれがどん
な確率で発生してくるのか、そういった人に及ぼす、健康に及ぼす影響の大きさを客観
的に、どこからも、消費者からも事業者からも左右されることなく中立の立場で、しか
も科学的にとらえて評価することです。さらに、それを情報交換、本日のようにリスク
コミュニケーションも加えて、こういったその大きさに応じた対応を行う、評価もすれ
ばリスクコミュニケーションも行うというのがこのリスク分析手法でございます。
 具体的には食中毒の未然防止体制を強化したり、あるいは科学に基づいた行政をやり
ましょうと。それから、政策決定過程が今まで不明瞭であったのを非常に透明化しまし
ょうとか、それから消費者には正確な情報提供をしましょうとか、それから食品安全規
制の国際的整合性、先ほど言いましたように各国からいろんなものが入ってまいります
が、そういった中でどういう規制を確立していく、整合性をどうとるか、こういったこ
とすべてリスク分析手法導入の中でこういったことを踏まえてやるということでござい
ます。
 そのリスク分析のポイントは、今言いましたようにリスクというのは健康への影響を
生ずる確率と影響の程度というふうに書いていますが、ちょっと難しいのですが、どう
いう危険性があってそれがどんな確率で起こるか、どんな健康影響があるかということ
です。リスク分析とは、健康への悪影響の発生を防止する手法であるということです。
科学ベースでやるのが我々内閣府の食品安全委員会、これはリスク評価をする機関で
す。例えば食品を摂食することにより、人の健康に及ぼす影響、例えば、農薬とか添加
物、そういったものが人の体に入ってきた場合に、どれほど健康に障害を及ぼすのかど
うか、それを評価すること、これが我々の役目でございます。例えばどういう形で回答
するかといいますと、農薬についていろんな安全性試験、科学データ、そういうものを
もとにしまして評価し、一生涯食べても人体に影響のない量を決める、1日摂取許容量
といいますが、それを決めるのが我々の役目です。
 そうしますと、次はリスク管理機関ですね、これは政策ベースということになります
が、厚生労働省あるいは農林水産省が食品安全委員会が評価した基準に基づいて、例え
ば農薬はこれだけしか使ってはいけない、残留基準がこれだけだから、それならばこう
いう時期にこれだけの農薬しか使ってはいけないとか、あるいは添加物については残留
がこれ以下であるから、添加物はこれ以下で使いなさいというようなことをリスク管理
機関が決めるということでございます。
 リスクコミュニケーションというのは、これ全部、きょう本日もう3省でやっており
ますように、すべてリスクに関する情報及び意見の相互交換ということで、本日のよう
な意見交換会とか、あるいはパブリックコメントで皆様方の意見を聞くというようなこ
とを政策ベースだけではなく、科学ベースにおいてもすべてにおいて一緒になって皆様
方と意見交換するというのがこのリスク分析でございます。
 それで、これはちょっと細かい図になりますが、安全行政とはどうなっているか、こ
れは同じようなことを書いておるわけです。食品安全委員会はリスク評価してコミュニ
ケーションして緊急時対応のことをやります。厚生労働省といろんな双方向でやるとい
うことで、評価をとればそれについてまた食品安全委員会が本当に評価が適正に行われ
ているかを見てみたりとか、そういうことを農林水産省あるいは厚生労働省とお互いに
連携してやることです。そして、それ以外に国際機関とも連携して情報交換したり、あ
るいはその他環境省、そういったところの連携もありますということで、食品の安全行
政がこういった非常に大きな枠組みの中で今行われております。最も非常に重要なのが
ここのリスクコミュニケーションということで、消費者、事業者には非常に幅広い情報
提供、意見交換をやりましょうということでございます。
 その次お願いいたします。食品安全委員会の構成ということで、我々安全委員会は一
応7名の委員より成っております。それから、その下にそれぞれの専門調査会というの
がございます。例えば企画専門調査会、いわゆるリスクコミュニケーションをする調査
会とか緊急時対応の委員会というようなものがございます。こういったところにはリス
クコミュニケーション、あるいは企画の中には公募によって入っていただいた代表の方
々もおられます。しかし、この評価チーム、これの中には科学的評価をするということ
で、今のところはほとんど専門の科学者によって構成されております。例えば大きく分
けて化学物質を評価するグループ、それから生物的な評価をするグループ、あるいは新
食品等の評価グループと大きく分かれておりますが、例えば化学物質系には添加物とか
農薬、動物用医薬品、器具・容器包装、化学物質、汚染物質等につきまして評価をやっ
ていきます。即ちそれをリスク評価するということです。それから、生物系について
は、微生物、ウイルス、プリオン。プリオンというのはいわゆるBSEの異常プリオン
の検討委員会ですね、それからカビ毒、自然毒など。それから、新食品にかかわりまし
ては、遺伝子組み換え、新開発食品、肥料、飼料ということで、そういったことをリス
ク評価するということをやっております。
 食品安全委員会はどんな役割をしているかというと、まず非常に大切な役割の一つが
リスク評価、先ほど言いましたようなリスク分析手法の中の一つの大きな役割、リスク
を評価するということです。いわゆる食を介して入ってくる可能性の化学物質や微生物
等の要因について、健康に及ぼす悪影響のリスクを科学的知見に基づいて、今わかって
いるレベルでの科学的知見に基づいて客観的かつ中立、公正に評価するということが我
々の委員会の非常に大きな役目でございます。それから、先ほどからも言っております
リスクコミュニケーションを実施すること。それから、もう一つは、緊急時の対応とい
うことで、緊急時、大きな国レベルでの危害が発生した場合、あるいは拡大するとか再
発防止において、迅速かつ適切に対応するということで、いろんなところから、国内外
から情報を集め、事態を早急に把握して、関係各省との連携によって政府一体となった
緊急時対応をやったりとか、国民に理解しやすいように情報提供するということで、一
応事務的に食品安全委員会がこれをまとめるという形になっておりますが、緊急のとき
には厚生労働省が即座に対応をとらねばならない場合もございます。
 今までその中で健康影響評価をやって実際に実施された状況を見てまいりますと、実
は先ほどの図にありましたように、厚生労働省あるいは農林水産省からリスク評価をし
てくださいというまず諮問が参ります。それがこれだけございます。農薬とか、それか
ら汚染物質なんかは厚生労働省が多いですが、新開発食品、添加物、動物用医薬品、こ
ういったものが既に要請品目がこれだけ306件と、8月19日現在で300あります。うち評
価がやっと終了しましたものが、今の時点で94ということです。積み残しが200個ある
というふうに見えますが、実はこの間EFSAといいまして欧州の食品安全庁も、どう
いうペースで進んでいるのかききました。皆様方からいうと日本はもうもたもたして評
価が遅いのではないかというおしかりもあるかもしれませんが、欧州食品安全庁でも約
300ぐらいで、やっぱり90ぐらい終わりましたという最近のお話でございました。では、
例えば汚染物質50も要請、評価してくださいという品目が来ているのにゼロではないか
という話になりますが、実はこのうちの49個は一括で来ているのです。49、一つはカド
ミウムなのですが、もう一つ、残り49については一括審議しておりますので、これが終
わると49ということになりまして、今審議中ということで、ちょっとゼロになってしま
いますけれども、こういった中で約3分の1ぐらいしかまだ評価をしていない。ただ、
この要請品目の中では今進行中のものがかなりありますので、ここはまだ評価しつつあ
るということでございます。
 リスクコミュニケーションはどうしているかというと我々は原則公開。とにかく我々
の7人の委員会は、木曜日の午後2時から公開で、今までのところすべて公開で会合を
やっております。それで、議事録なんかすべてホームページに掲載して、皆様方に意見
がある場合には、食品安全ダイヤルで意見をいただいたりしております。
 それから、食品健康評価という国民の一般からの意見、情報の募集ということで、実
はその評価が、例えば農薬にしても、添加物にしても、ある物質について評価が終わり
ますと、4週間パブリックコメントというのをやります。国民の一般から意見あるいは
情報を募集して、それに対して非常に大きな問題、あるいはちょっとここは我々も検討
しなければならないようなものがありますと、それをまた専門調査会で検討して、それ
で最終的に安全委員会で決定するという形になっております。
 それから、その他リスクコミュニケーションについて食の安全に関する意見交換会、
こういったもの、それから食の安全ダイヤルということで、ここには常に電話で質問が
あればそれに対して回答をする。ところが、我々今リスク評価は食品安全委員会、リス
ク管理は厚生労働省あるいは農林水産省というふうに分けられたのですが、電話されて
いる方々はそんなことわからない場合が多くて、管理の話とかいろいろミックスで入っ
てまいります。では、どうするかといいますと、今厚生労働省にしても農林水産省にし
ても非常に連携がうまくいっておりまして、それぞれの質問で独自に答えにくいもの、
安全委員会の領域でないものについてはそれぞれの各省に回しまして、適切な回答をす
るということになっております。
 その次お願いいたします。食品の安全に関するリスクコミュニケーションの現状と課
題、過去の現状については、今まで行政機関の間のコミュニケーションが不足していて
非常に連携が悪かったとか、専門家と行政の間のコミュニケーション不足とか、いろん
な問題がありました。それから、消費者の理解を深めるための支援の不足とか、こうい
ったことがございましたので、今後はリスクコミュニケーションについてはメンバーの
意見、専門調査会というのが委員会の下にありますので、そういった人たちも意見交換
会に積極的に出席していただいて助言いただくとか、その他重要なのは迅速なコミュニ
ケーションを行うためのシステムの開発とか、非常に関係者の間に意見の違いが大き
い、ギャップが大きいとか、そういったものについてはどうするか、計画的に実施して
いく予定です。
 例えばいろんなアンケートとりますと、一般消費者の方々で一番怖いのは何かという
と、大抵出てくるのは農薬と添加物なのです。ところが、科学者が評価しますと、農薬
と添加物が一番安全性が高いということになってしまいまして、そういったギャップが
なぜ生じるか、それをどういうふうにリスクコミュニケーションで理解を深めるかとい
うようなことが非常に重要になってまいります。
 それから、いわゆる風評被害、こういったものが鳥インフルエンザで起きました。我
々も鳥インフルエンザで、卵とか肉には全く健康影響はないのだということの情報伝達
が少しおくれたかなとは思いますが、こういったことによって卵の売り上げ、鶏肉の売
り上げが非常に半分以下に京都府なんかはなってしまいました。そういった中で、いわ
ゆる風評被害というのに対してどういうふうにしていけば、どういうふうな情報提供す
ればいいのかとか、それから国際的なリスクコミュニケーションでは、国によりとらえ
方が非常に違うのです。例えば肉の消費にしても、BSEが発生した国でも余り消費が
落ちない、これはなぜだろうとか、そういった国民のいろんなとらえ方とか、そういっ
た違いの中で、何かみんなでうまくコミュニケーションをとる方法はないかとか、そう
いったいろんなことを今後活動としてやっていくべきではないかというふうに思ってお
ります。
 その次お願いいたします。食品安全委員会の今後としましては食品健康評価、先ほど
から言っております、これが非常に我々の大きな業務になっておりますが、リスク管理
機関から要請のありました食品健康影響評価、そういった案件の処理、リスクを科学的
に評価していくこと、それから危害要因ごとの食品健康影響に対するガイドラインを作
成して、このガイドラインに沿って評価していくことを今後考えていこうと思っていま
す。少しずつ進みつつあります。それから、委員会みずからの判断による食品健康影響
評価も今後行っていくべきだろうとか、こういったことをやる業務があります。それか
ら、リスクコミュニケーション、それから緊急時対応、その他危害情報のいろいろ情報
を集めておりますので、そういった危害情報のデータベース化とか、我々も少し予算が
ありますので、安全性確保に関する調査を実施しております。昨年度いろんな情報を集
めて、それをいざというときに活用できる状況にするということで、調査研究というこ
とも行っております。
 その次お願いいたします。ここからちょっと各論というのか、評価のポイントという
ことでお話しさせていただきたいと思います。食品中のリスクは、先ほど言いましたよ
うに今の段階ではもうゼロではありません。いろんな分析技術がどんどん発達してまい
りましたので、リスクを分析すれば検出される、食品の中には何かが入っているという
ことで、ゼロではないのだという概念を理解していただきたいということです。
 それから、もう一つは、人体に入るといつかは少しずつたまって有害になるのではな
いかというふうな消費者の方々あるいは一般の方々が多いのですが、そうではないので
す。例えば化学物質にしても、微生物にしても、一たん入っても例えば化学物質であれ
ばそれは一応分解、あるいは代謝されて無毒化されたり、あるいはそのまま排せつされ
るということで、ずっとたまっていくことはないのだということを理解していただきた
い。大抵は添加物とか農薬、微々たるものだけれども、どんどんたまっていったりする
のではないかという意見が非常に多うございます。そうではないのだということなので
す。それは、皆様方が、例えば医者からもらう薬を考えていただいたらわかると思うの
ですが、あの薬は完全な化学物質でございます。それを毎日3回飲むのはなぜかという
と、血中の有効レベルを保つためなのです。それはなぜかというと、代謝されて尿に出
ていってしまう、あるいは呼気に出ていってしまうということで、有効レベルを保つた
めには常に飲んでいるということなのです。ですから、添加物にしても農薬にしても同
じような代謝経路があるのだということです。ただ、先ほど冒頭で言いましたように、
農薬にしても昔のような残留性が高いとか分解しにくいとか、そういったものが今はも
うほとんど使われていないということなのです。そういった面についても調べられてお
ります。
 それから、上と下は同じようなことなのですが、分析技術が発達すればほとんどの有
害物質は検出できます。では、即健康影響があるのかというと、そうではないのです。
その点に関しては安全性をきっちりと確かめているということです。
 例えばフグの毒性です。皆さんフグを非常に食べられますが、最もおいしいとされて
いるトラフグです。主に肝臓、卵巣、腸に猛毒のテトロドトキシンが入っております
が、皮、白子、筋肉、これにも微量の毒が入っているわけです。皆様は、これは経験上
普通に食べる量では中毒死しないと理解して食べているという例なのです。ですから、
食品の中には自然界の毒であっても何であっても、多少入っていても人間にとって無毒
な状況で食べているということなのです。
 これは生体への影響と、それから暴露量、その関係を示した図です。これ化学物質が
基本になっているのですが、人体はうまくできているもので、食べた量、有害物質の量
がどんどんふえてまいりますが、最初は、先ほど言いました、代謝したり、無毒化した
りということで、生体影響は全然起きません。しかし、しばらくすると何らかの影響が
出てきまして暴露量、いわゆる食べる量、有害物質の量がふえるに従って致死量になっ
てまいります。
 では、農薬とか添加物はどうかということなのですが、その前に生体に何らかの影響
を及ぼすレベル、これは、グラム単位ぐらいですよね。そのレベルで摂取しているのが
医薬品です。これは可逆的、すなわち飲んでも生体にそんなに悪い影響ないです。もと
に戻る力を持っております。ですから、ずっとかなり長期に飲み続けておりますが、可
逆的にもとへ戻る能力がある。しかし、抗がん剤とかといったちょっと影響の強いもの
とか、さらに致死量になってくると、生体影響は非常に強くなる。
 では、農薬はどうかといいますと、まず生体にとって最大無作用量というのがありま
す。これはどういうことかというと、農薬を動物実験でどんどん食べさせて、2年間以
上飼って影響がないかどうか、その最大の量はどれかというのをまずいろんな実験で決
めてまいります。この実験も別に慢性毒性以外に遺伝毒性とか発がん性とか、それから
生殖影響とか、すべていろんな動物実験で最大で、全く無作用のレベルを決めます。そ
こから今度、これは動物実験ですから、人間に勝手に応用してもらったら困るというの
で、その最大無作用量に、さらにそれを10分の1にします。これは動物と人間との差に
よって、やはり危険性を10分の1、10倍とった方がいいのではないかということです。
もう一つは、人間にも個体差があるだろう、個人差です。老人もおれば乳幼児もいる
と。そんなすべて成人の健康な男子ばかりではないということで、そういったヒトの個
人差の影響というのをさらに10分の1とります。それを掛けますと、最大無作用量を
100分の1にするわけです。これを最大無作用量の100分の1、これが1日許容摂取量と
いいます。このADIを決めるのが我々の食品安全委員会のリスク評価なのです。
 では、このADIでここまでだったら安全性は100倍見積もっていますということで
す。ですから、人体影響は恐らくない、ほとんどゼロに近いでしょうということになり
ますと、厚生労働省あるいは農林水産省はこれ以下のレベルで使うことになります。実
際の使用レベルはここですよということを示した図でございます。
 その次お願いいたします。それから分析感度です。先ほど言いましたように、これは
非常に進んでまいりました。科学の進歩というのはすごいです。私が大学院に入ったと
きはこのppm、皆さんも昔よく聞かれたと思いますが、環境汚染にしてもppmオーダーで
すね。これはどういうことかといいますと、100万分の1のレベルで検出できる、すな
わち1グラムの10のマイナス6乗です。これは、1グラムの食品の中に1マイクログラ
ム、100万分の1グラム入っていれば1ppmと言います。この1ppm、100万分の1、例え
ば普通はかりではかりますと1グラムから10ミリグラム、このレベルです。このレベル
しかはかれませんね、普通薬屋さんのはかりでは。こういう10mgもはかれない。せい
ぜいで100ミリぐらい。これの1グラムの10分の1ぐらいしかはかれないのです。いわ
ゆるてんびんみたいなのは。ところが、分析技術が、私が卒業したときでもppmオーダ
ーでははかれました。ところが、今さらにこれの100万分の1、これ1兆分の1です。
1ピコグラム、1兆分の1の物質を検出することができるレベルです。1兆分の1とい
うのはどういうことかといいますと、1円玉を1兆円分集めまして、その中に赤い色を
した1円玉を見つける能力が今の分析感度であるということです。例えばダイオキシン
の許容量、1日4ピコグラムと決まっています。このピコグラムオーダーです。ですか
ら、これ1,000分の1ずつになって、1グラムの1,000分の1は1ミリ、1ミリの1,000
分の1は1マイクロ、ナノグラム、ピコグラムというふうになっています。1兆分の1
まで分析できるようになりました。卒業して30年の間に、さらに100万分の1まで検出
感度が上がったということでございます。
 その次お願いします。今まで総体的なリスク評価の方法についてお話ししました。こ
こからちょっと各論になりますが、最も食品を通して人体に今現在影響を及ぼしている
ものは食中毒でございます。実際に健康被害が起きているのは食中毒、大体年間1,000
件ぐらい起こりまして、患者数は約3万人ございます。その中でやはり多いのが細菌で
す。それから、最近ふえてきたのがウイルスです。ノロウイルスです。それから、化学
物質。化学物質はめったにないのですが、この年はちょっと多くなっていますが。それ
から、自然毒。昔、死者といったら大抵これフグ毒が多かったのですが、キノコ類で死
亡する人もいます。こういった死者が五、六人、ない年もありますけれども、大体食中
毒で死ぬ人が数名います、O157が発生したときはもっと多かったのですが。そういう
ことで、実際に食品を介して人体影響を及ぼしているのもので一番多いのは食中毒であ
るということです。
 また、米国では、食品が媒介する病原体によって推定約330万から1,230万人ぐらいが
発病しております。その死亡件数は3,900人、日本が数名、もう1けた台なのに比べて
アメリカでは、米国では3,900人ぐらい死んでいるということです。WHOの報告です
が、こういった状況がございます。
 そういった中で、食中毒の豆知識というのですか、食中毒の予防の仕方というのをち
ょっとここでお話しします。我々の業務ではないかもしれないのですが、ちょっと知っ
ておいていただきたいと思います。食中毒の原因物質を摂取します、細菌でもウイルス
でもフグでも何でもいいですが、そういったものを食べますと、ある一定期間、これ潜
伏期といいますが、その後食中毒の症状が発現、出てまいります。これは、潜伏期があ
りますが、ではとればすべて発症するかというと、そうではないのです。感染しても発
症しないこともあります。それはどういう場合かというと、菌量が非常に少なかった、
あるいは菌の毒性が非常に弱かった、あるいはたまたま個人が非常に健康であったとか
です。逆にちょっと体が弱っているときには発病します。それから、潜伏期には差があ
ります。菌の種類によってとか、菌の量とか、個人の免疫力、こういったものによって
非常に潜伏期には差があります。こういったことで、すべてが発症するわけではありま
せん。ということは何かというと、常日ごろ衛生的にして、健康を保つということなの
です。
 少し知っておきたいのは、潜伏期の問題ですが、非常に短いものがあります。フグと
黄色ブドウ球菌です。皆さん食中毒かなと思ったときに、大体3時間ぐらいで発症しま
す。嘔吐や下痢とか起こりますと、黄色ブドウ球菌によるものだと考えられます。いわ
ゆる雪印事件のあの菌です。3時間ぐらいで起こればブドウ球菌だというふうに理解し
ていただければいいのです。それから、フグ、これ二、三十分で発症してまいります。
これ熱に非常に強いですから、みんなと食べるときは二、三十分ちょっと様子見てから
食べるとかしてもらうといいのですが、20分も30分も待っていたらなくなってしまうと
思いますが。それから、長いものもあります。カンピロバクターという食中毒菌は長い
のです。大体三、四日潜伏期があります。ですから、皆さんがこれは食中毒だなと思う
ときは、3日前ぐらいの食品、少なくとも1週間前何を食べたか、きのう食べたのもの
も忘れている人が多いのですが、1週間近くは何が原因かというのをちょっと知ってお
く必要があります。非常に長いのです、このカンピロバクターによる食中毒がふえてき
ております。一般には、食中毒というのは1日、2日なのです、潜伏期が。サルモネラ
とか腸炎ビブリオとかボツリヌス、こういったものは。ですから、短いものと長いもの
を大体知っておくとわかる、これかなという予測がつくわけです。
 今度症状によって分けてみますと、大体細菌がずっとふえて起こってくるのが消化器
症状です。下痢とか腹痛とか発熱、こういったものが起きるのはカンピロバクターとか
腸炎ビブリオ、サルモネラ、こういったものは、いわゆる消化器症状を起こす食中毒菌
ですが、怖いのはこちらです。神経症状を起こす食中毒があります。嘔気、非常に胸が
気持ち悪い、嘔吐する、それから神経症状です。複視というのはどういうことかという
と、物が二重に見えてくる。なぜかというと、目の神経がやられるので、調節ができな
くなって二つに見えたりする。それから、散瞳というの何か。死んだとき瞳孔が散瞳し
ます。いわゆる瞳孔の神経が効かなくなってしまうといったような状況。それから、嚥
下困難、ひどくなりますと呼吸筋麻痺。呼吸筋を動かす神経がやられますので、呼吸筋
麻痺を起こして死亡する。いわゆるフグ毒のような状況です。これを起こすのは何かと
いうと、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス、フグ毒です。黄色ブドウ球菌で死ぬということ
は少ないですが、嘔気、嘔吐のような神経症状を呈します。ボツリヌスというのは非常
に怖いものでして、東北なんかで、伊豆市でよくこの中毒が起こりました。最初に起こ
ったのが北海道です。戦後間もないころだったのですが、最初わからなかったのです、
何で起こったか。ある人が亡くなって皆さんがお葬式に行きまして、そこで生前にその
亡くなった人がつくっておいたおすしを食べたら、また死んだのです。犯罪ではないか
と言われたのですが、そこで調査しますとボツリヌスであったということなのです。フ
グ毒は皆さんもご存じのような状況です。
 治療です。今言いましたように、本来食中毒の治療なんていうのは、原因に対する治
療なんてありません。対症療法といいます、そういうのは。熱に対しては解熱剤、下痢
に対しては下痢どめというふうな対症療法、あるいは抗生物質を使いますが、先ほど言
いましたトキシンで起きるもの、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシン、毒素で起こしま
す。ですから、抗生物質は無効なのです。トキシンがもう産生してしまっておりますか
ら、それを、トキシンを抗生物質がやっつけることはできません。抗生物質は細菌の増
殖をやっつけますが、トキシンには効きませんということです。それから、致命率の非
常に高いもの、これは大体ボツリヌスで約3割ぐらい。リステリア、これ日本では今の
ところないのですが、アメリカでは大体5,000人ぐらいいて500人ぐらい亡くなるので約
10%。これが恐らく今後日本にも入ってくるだろうということで、厚生労働省ではこれ
についていろんな調査をしております。
 ということで、最後に一番大事なのは予防なのですが、加熱が無効なものというのを
ちょっと知っておいて下さい。加熱したら大抵は安全なのではないかと皆さん思われる
けれども、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンというのを産生しますと、これ180°、
30分煮てもこの毒素は失活しません。不活化されないというのです。いわゆる雪印事件
でも、最終的には滅菌するのだから大丈夫だろうと思ったのではないかと思いますが、
もうこれが産生されておればどんなことやっても、加熱は無効であります。
 それからフグ毒、これなべでぐつぐつ煮てもかかりますから、テトロドトキシンも非
常に耐熱性のトキシンです。
 それから、昔は塩で保存するのが一番いいということで塩漬けが保存法だったのです
が、かなりの塩蔵、塩辛いものであっても増殖するのがこの黄色ブドウ球菌。だから、
お弁当なんかで塩辛いものであっても、手指の傷から入った黄色ブドウ球菌なんかは食
中毒を起こします。
 それから腸炎ビブリオ、これは好塩菌といいまして、塩素が非常にあるところで増殖
しやすいので、これも塩蔵保存は余り有効でない。NAGビブリオというのもあります
が、これも食中毒。こういった食中毒は塩蔵保存してもだめです。
 それから冷蔵保存、冷蔵庫に入れておけば大丈夫というのもこれちょっと問題でし
て、エルシニアというのは5°でも増殖します。こういった食中毒もあります。リステ
リアもそうです。冷蔵庫へ入れておいたら大丈夫といっても、これ低温で増殖するとい
うことです。こういった常識を覚えておいて、ではどうするかといいますと、まず食べ
るときに早く食べるということです。それと食べるときはよく洗うということです。そ
れから、洗ったとき一応加熱して早く食べるということを心がけることが必要かと思い
ます。
 はい。その次お願いします。ここからちょっと昨日プリオン調査会で、皆様方新聞と
かテレビで見られたと思います。BSEの話を少しいたしますが、我々が評価するのは
BSEの問題ではなくて、バリアントタイプのCJD、クロイツフェルト・ヤコブ病な
のです。すなわちBSEの牛の危険部位を食べることによって、どうも何かクロイツフ
ェルト・ヤコブ病に似た症状の病気が発生したわけです。それでバリアントタイプ、変
異型のCJDということで発表されたわけです。1996年、イギリスで初めて報告されま
した。
 これがイギリスのBSEの発生頭数です。一番多いときは3万7,280頭、この1992年
に起きております。フィードバーン規制、いわゆる飼料規制をしましてどんどん減って
いったわけです。しばらくして、約七、八年たってここにバリアントタイプのCJD、
クロイツフェルト・ヤコブ病、いわゆるBSEの危険部位を食べて発症するこの病気が
発生してまいりました。したがって、このピークを見ますと、どうも普通は人間では、
イギリスの例の場合には8年ぐらいの潜伏期があるなということ、非常に長い潜伏期の
病気なのです。
 BSEの感染牛というのは、ほとんど危険部位はもう決まっております。脳が3分の
2です。それから、その次脊髄です。ですから、脳と脊髄をとるだけで90%以上、92%
は除去することができる。その他危険部位に目とか回腸遠位部があり、回腸遠位部にど
うも最初に異常プリオンたんぱくが到達するようなのですが、その他背根神経節とかあ
ります。全てトータルしますと、99.7%が除去されます。今、日本では、このBSEに
関係なく、牛の危険部位をすべて取り除いております。
 ここで、きのうも検査の問題が非常に出てまいりました。全頭検査が非常に有効では
ないかというような誤解がありますが、これはBSEの危険部位をとることがもうほと
んどなのです。それは感染のあるなしにかかわらず、これはとっているわけです。わず
か0.3%、これは全頭検査しますと、その中に陽性のものが出てきたとします。それは、
普通陽性でなければ危険部位をとって市場に出るわけです。もし陽性になりますと、す
べて焼却処分します、全頭。ですから、検査でこの0.3%を排除することはできるかも
しれません、全頭検査することによって。しかし、すべての牛は危険部位を全部とって
いれば99.7%は排除できるということに今のあれではなっております。ただ、むしろ危
険部位のとり方が本当に十分なのかどうか、これの危険性の方が大事なわけです。だか
ら、大事なのは危険部位をきっちりとるということが非常に大切なのです、予防に関し
ては。検査よりはむしろ、検査したからといって危険性が減少するかというと、推測し
たとしても0.3%だよということです。
 検査のことが非常に問題になっております。プリオンというのは、指数関数的に、倍
々でふえていくようですが、最初感染しますとずっと徐々に徐々にふえていまして、あ
るときかなり急激にふえるのではないかと思います。これもはっきりわかっておりませ
ん。
 イギリスの例ですが、ここで発病します。だから、感染してどうも2ないし8年、平
均5年ぐらい潜伏期があるだろうと。発病からさかのぼりまして約6カ月、ここから検
査すると見つけることができます。したがって、この間はいくら検査してもだめなので
す。確か検査した牛の99.5%ぐらいは30カ月以上の牛で見つかっているわけですが、そ
の間発病前の6カ月、この間しか今の検査法では見つけられない。恐らく将来的には、
先ほど言いましたように感度がどんどん大きくなれば、即ち感度がよくなれば、この時
点でも調べられるだろうし、将来的には生体牛でも見つけられる可能性もあるわけで
す。しかし、今の方法では、ここまでしか調べられないのです。全頭検査にどれだけ意
味があるかというようなことが検討されたわけです。
 今BSEと、最初に食中毒の話をしました。それは、現実にヒトに3万人の患者が出
ているのです。では、BSEはヒトにどれだけ影響があるのかということで、検討しま
して最悪の条件で、フィードバンも何も行われなければ、日本で11頭出ておりますか
ら、ヒトが発症する確率、最悪考えて0.1から0.9人ということで、一応座長が推測を立
てております。
 そういった中で、BSEがヒトにどんな影響をするかというと、BSEはこれ牛の病
気です。牛の病気ですから、ヒトは感染しにくいのです。先ほど言いましたように、大
体イギリスで18万頭余り、WHOが推測したのでは100万頭近くが感染したのではない
かと言われています。その中で、クロイツフェルト・ヤコブ病を起こした人がイギリス
で147名です。ですから、公式にイギリスが提供した情報の18万頭から140人と。フラン
スでは900頭ぐらいBSEが出ていますが、そこで数人と。それから、400頭、600頭出
ているところで1人以下ということで、非常にヒトには感染しにくい病気である、これ
は感受性が人間と牛では大分違うのであろうということです。
 それから、BSEは人為的に発生した疾患ということです。肉骨粉を牛が食べたこと
によって発症し、そこの危険部位を人間が食べたことによって発生した疾患ですから、
規制をきっちりすれば、原因を絶てば終息していくだろうと、将来的には。それから、
肉骨粉を牛が食べて起こった病気だから、飼料に肉骨粉をまぜない対策をとればいいと
いうことで、行く行くは終息をしていく病気であるということを知っておいていただき
たいということです。今、飼料についてはきっちりと分けてつくるとか、いろんな対策
を農林水産省とかがやっております。
 英国のBSE発生頭数、これ今見てもらったらわかりますように、一番ひどいときで
3万7,000頭発生していました。しかし、どんどんこれ規制によってずっと減ってまい
りました。昨年600頭、それでも日本の十余年間に比べて600頭まだ出ているということ
ですが、急激に飼料規制やりまして減ってきているのだということで、イギリスは30カ
月以上全部処分していましたが、危険部位をとって何か利用できないかということを検
討し始めたという情報もあります。
 次は、最後に……。ちょっと時間が過ぎて済みません。ヒジキのことがよく安全ダイ
ヤルで出てます。ちょっとここだけ簡単に言いますが、ヒジキという海草、有機体と無
機体とありまして、普通海草にはほとんど有機体の砒素しか含まれていません。しか
し、どうも7割ぐらいはヒジキの中には無機体の砒素が含まれています。
 砒素の存在、海草には数十ppmありますが、大部分は有機砒素です。有機砒素はほと
んど毒性がないです。他の海草に比べヒジキだけは有機砒素だけでなく無機砒素をかな
り含む。哺乳類では無機砒素は代謝され、毒性の弱い有機砒素に変わるようになってお
ります。有機砒素のLD50はキロ当たり1から50ですから、体重50キロのヒトだと500
グラム食べないと死ぬ量に達しないということで、ほとんど体重あたり5グラム超える
ものは無毒な物質と言われています。ですから、有機砒素は人体にとっては非常に無毒
であります。人体中にもちゃんとありますよということです。
 健康影響として、これ厚生労働省が試算しました。大体1日0.9ぐらい食べるだろう
ということで、ヒジキから無機砒素の摂取量は33マイクログラムと計算したのですが、
摂取することになる。国際機関が決めた暫定耐用週間摂取量15マイクログラムです。こ
れざっと計算してまいりますと、暫定的耐用週間摂取量は普通にヒジキ食べる人はそれ
の約30%です。ヒジキを20分間水に浸しますと約半分砒素が出ていってしまいますの
で、より安全になります。ですから、まあまあ15%ぐらい減りますから、耐用摂取量の
15%だから、5倍ぐらい食べても摂取量を超えないということです。
 えらい超過して申しわけございません。これで終わります。どうもありがとうござい
ました。

〇司会
 小泉委員、ありがとうございました。

    ○「健康食品」の賢い選び方
                独立行政法人国立健康・栄養研究所  田中 平三

〇司会
 続きまして、独立行政法人国立健康・栄養研究所、田中先生より「「健康食品」の賢
い選び方」についてご講演いただきます。
 田中先生は、大阪市立大学医学部にて博士号を取得後、東京医科歯科大学の教授をさ
れ、その後国立健康・栄養研究所成人健康・栄養部長をされております。2001年3月、
独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長に就任され、現在に至っております。また、
厚生労働省薬事・食品衛生審議会委員にも任命されており、現在新開発食品調査部会長
をされております。
 田中先生、よろしくお願いいたします。

〇田中平三独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長
 皆さん、こんにちは。ただいま紹介していただきました独立行政法人国立健康・栄養
研究所の理事長を務めております田中でございます。ちょうど今一番眠いときで、どう
ぞご遠慮なくお休みになっていただきたいと思いますが。
 きょうは、「「健康食品」の賢い選び方」ということを題してお話をしてみたいと思
います。スライドをお願いします。
 健康食品って何じゃらほいというわけですけれども、ここに健康食品、真ん中に置き
ますと左側に医薬品があり、右側に通常の食品があります。ここに境界線書いてありま
すけれども、これは本当はぐぐっとゆがんだ波線のようなものをつけておいてもいいぐ
らいの話であります。つまり、非常にこの区別は難しいわけで、あえて健康食品とは何
かといいますと、一番重要なのは表示の話であるかと思います。つまり健康の維持増進
に資するというような表現を厚生労働省はしていますが、健康にかかわるようなことを
その商品にうたい文句を書いてあるものというような話であります。しかしながら、当
然この医薬品には何々に効くという病名が入ってくるわけですけれども、健康食品の場
合は明確な病名は使えないというような話になってくるわけでして、そのあたりも微妙
であります。後でもう少しお話しします。
 では、通常の食品はどうかというと、例えばニンジンであるとベータカロチンのよう
なもの、カロテノイドを含んでいますから、抗酸化作用があるようなことも言えないこ
ともないわけです。だから、そういったことでこの境目は非常にわかりにくいですし、
また形も、これ錠剤もこのごろ健康食品になってきたわけです。ですから、通常の食品
は錠剤、カプセルがないかというと、よく似たやつはあるわけです。例えばチョコレー
トで丸いやつでコーティングしてあるやつありますね。あれとどうかと言われたらまた
難しいのですけれども、まあ通常の食品は大根やニンジンや牛肉やという話になるかも
しれませんが、形でもなかなかそう簡単に区別はできません。
 そういったところで、難しいのだと。何あいつ言いに来おったのかなと思われるかも
しれませんが、なかなかそうたやすく専門家でも区別のできないものです。おぼろげな
がら今言ったようなことで、イメージとしてわいてくる、私も大学におりましたから研
究者の端くれの中の端くれですけれども、研究者であってもそう簡単に区別はできるも
のではないわけですので、皆さん方も区別できないからはっきりせいよなんていうこと
思わなくてもいいということで、安心していただけたらと思います。
 健康食品というの、ここで関与成分という言い方していますけれども、薬だったら薬
効成分とか有効成分とかと言えるのですけれども、健康食品の場合には関係している成
分と、要するに健康の維持、増進に関係している成分という言い方を一般的にしており
ます。関与成分というものです。どういうものがその食品に含まれているかというわけ
です。ここで常成分の書いていますが、これは一般に植物の中……動物、植物、鉱物と
いうときの植物ですが、植物の中に普通に含まれている成分が大きく栄養素と栄養素で
ないものに分けられます。栄養素はもう皆さん方ご存じのように、たんぱく質とか炭水
化物とか脂質とかビタミンとかミネラルといったものです。そういったものは人間が生
きていき、健康維持し、成長をし、あるいは各種の臓器が正常の機能を営み、エネルギ
ーを産生していくのに必要なものであるわけです。それを栄養素機能と言っておりま
す。そういったものがあります。これなんかは普通は薬であったわけですね、例えばビ
タミンAとかビタミンA1とかというのは。これは薬で当然売っていますが、いわゆる
処方せんの要らない薬局で売れる一般用医薬品としても売っていますし、その一方、も
う今ですとコンビニへ行ってもそれ売っているわけです。そういったやつは医薬部外品
という言い方をしたりしているわけです。その一方で、食品として錠剤、カプセルなん
て売ってもいいのです。同じビタミンB1でも錠剤で売っていいわけですし、それが時
には医薬品で売ってもいいわけですし、食品で売ってもいいわけです。だから、同じも
のでもラベルを医薬品と書いていてもいいし食品でもいい、こういったことで医薬品と
健康食品の区別難しいというようになっておりますが、そういうものがあります。
 それから、栄養素以外の機能を示すことがわかってきました。例えば今一番盛んに売
られているのが、こういうボトルに入ったアミノ酸です。そういったものは運動後の疲
労回復にいいというような話でした。皆さん方ご存じのように、アミノ酸というのは血
や肉の原料として体の中で使われています。それはこっちの栄養素であるわけですが、
今言ったような栄養素以外の働きを持つものも出てきております。これたくさんありま
す。
 今度は非栄養素ということであります。それは大きく二つに分かれますが、学者はプ
レバイオティクスと、それからバイオジェニクスというような言い方しておりますが、
一つが難消化性炭水化物と言われているものですが、わかりやすい言い方したら食物繊
維であります。よく健康食品に入っておりますのは、難消化性デキストリンとかという
やつです。これは何かというと、要するに便秘によろしいと、こういうことになるわけ
です。一言で言うとそうです。それ以外のものがあります。これが植物性化学物質とい
うもので、ここにいろいろ書いてありますが、フラボノイドというものがありますが、
これが今大豆等のイソフラボンとかというのがその一つであります。あるいは葉緑素と
いうことでクロレラとか、そういったようなものであります。大きくこのように非栄養
素は二つに分けられます。
 それから、もう一つ特殊成分、これは常成分という言い方に対する言葉であります
が、これは生薬由来のものです。だから、生薬でも効き目が穏やかで副作用がないもの
は食品として売ってもよろしいというようになってきたのです。ウコンとかというもの
も本来は生薬であったものでしょうけれども、そういったものが食品になってきたわけ
です。
 それから、多種成分と書いていますが、こういったものがいろいろ入っているやつが
あるわけです。例えばプロポリスとかスピルナとか、それからロイヤルゼリーとか、そ
ういったものであるかと思います。ここまでは大体中心が植物であったわけですけれど
も、今のプロポリスとかロイヤルゼリーというのは動物的なものもありますが、今盛ん
に話題になっておりますにがりなんかも多くの成分を含んで、ここのグループに入るの
でないかと思います。
 今度はちょっと生物、生き物で、動物と言っていいかどうかちょっとあれですが、発
酵微生物、これをプロバイオティクスと言っておりますが、これは要するにヨーグルト
のようなものでして、乳酸菌とかビフィズス菌とかといったようなものです。こういっ
たものが健康食品の成分になっておるというわけであります。ここで言ったあたりがあ
る意味では科学的な立場から健康食品に接近している話であります。
 まず、きょうは健康食品の有効性と安全性についてお話をしていくわけですが、大原
則としては誇大な広告にだまされないようにということが大鉄則であります。これが賢
い選び方の一番の第一条件であるわけです。つまりがんが治ったとか、脳卒中で麻痺し
ていたのが突然ぴんぴん歩けるようになったとか、IQ、要するにお利口ちゃんになっ
たという話ですね、頭が突然よくなったとか、そういう話はもう健康食品ではあり得な
いと思ってほしいと思います。もしがんに効くならば、末期のがんが治るならば、脳卒
中の麻痺が治るのならば、これはもしあれば薬です。厳密に言えば薬でもない話です。
ですから、こういうようなことにだまされないということが賢い選び方の第一条件で
す。
 さて、健康食品の有効性の話に入っていくわけですけれども、それの有効性の方から
区別をあえてしますとこういうことです。医薬品というのは、比較的短期間内で効果が
出現してきます。比較的短期間というのはどういうことかというと、なかなかこれも難
しいですが、数日から1週間ぐらいでというような話であるかと思います。健康食品の
ものは、健康食品は比較的長期間が経過してから、これも難しいですけれども、まあま
あ現在の特保なんかでは8週間から12週間とは言っておりますけれども、少なくとも1
カ月以上経過してから、穏やかな効果が出現してくるものと。これは有効性からこの両
者の差はそのように区別できるのではないかと思いますが、これも何か変な、そんなに
はっきりした話ではありません。健康食品は、私が生まれ育った大阪でいうと、ぼちぼ
ちでんなあというやつが健康食品だと、こういうことです。
 健康食品の現状でありますが、先ほども言いましたように、がんが治るとか脳卒中の
麻痺が治るとかという話ですけれども、期待される作用に科学的な根拠がないものが多
い。そして、試験管内で実験してみたり、動物で、極端な場合人間にいいますと毎日洗
面器1杯ずつ食っていたら効果があるような話を動物でやっていて、それで効果がある
といって、そのまま人間に持ってこようとしているような話もありますし、それから気
をつけてもらわないといけないのは体験談を持ってくるようなものもいかんわけです。
私は、がんの末期と診断されたけれども、これ飲んで治ったとか、あるいは何々大学の
名誉教授いわくとか、そういう大先生の話とか、そういうようなこともあるわけです。
こういったような体験談というのは、ひょっとしたら効果があったのかもしれません
が、もし1,000人のうち1人でも効果あれば、1万人のうち1人でも効果あれば、そう
いう話が出てくるわけです。あとほとんどの人は効果なかったというような話もあるわ
けです。
 それから、価格と効果が一致しないような問題が多いです。どういうことかという
と、1万円、2万円というように高い値段がつけられると売れるという話よくあるので
す。イチョウ葉エキスでも、盛岡のどこかの並木道からほうきでかき集めてきて、乾燥
させて、それで粉にして売っているやつもあり得るとお聞きしていますが、そういった
ものを1袋1万円といったら、あたかも効くように思うという話もあるのです。だか
ら、高いから効くと思うのもちょっと気をつけていただきたいと思います。
 それから、品質にいろいろ問題がある、今のイチョウ葉エキスでも、きちっと抽出し
たものもあれば、街路樹からほうきでかき集めたものもあるというようなことです。中
には医薬品などをまぜてしまっているものもあるそうです。あります。そういったこと
で、こういったことが、いろんないわば誤った情報が流れてきておるというのが現状で
あります。
 では、この健康食品の有効性を確かめるのはどういう研究があるかということであり
ますが、きょうお土産として介入研究という言葉を覚えておいていただきたいと思いま
す。これで一応確認されておるということです。
 はい、スライドお願いします。どういうことかというのをちょっと例を挙げてお話し
してみたいと思います。対象者、比較的血圧の高い人、例えば集めてきます。そうだけ
れども、高血圧ではないというのが健康食品の話です、変な言い方ですけれども。高血
圧といったらもう病気ですので。だからちょっと高目のような人を集めてきまして、こ
の人たちを二つの群に分けます。このときに、研究者にいろんな意図が入り込んではい
けません。それはどういうことかといいますと、この人はちょっとまじめに飲んでくれ
そうだな、食べてくれそうだな、だからこっちに入れるとか、この人はサボるからこっ
ちへ入れておこうかなとか、あるいは女の人はまじめにやってくれるから女性をこっち
に入れておいて、こっち男ばかりにするとか、血圧だったらちょっと中年の人の方が効
きやすいから、こっちに入れておくとか、あるいは若い人で高目のやつというの余り効
かなぬかもしれぬからこっちに入れておくとか、そういう話をして分けたら公平に判定
できないわけです。一応科学者は無作為配置、ランダムに二つに分けるというやり方を
するわけです。いわばさいころを持っていまして、転がして、偶数が出たらこっち、奇
数が出たらこっちというようにするのです。そうしますと、男と女の割合も、年齢も、
その他血圧、ここは血圧がポイントですから、血圧の値も同じになるわけです。だか
ら、意図的に血圧高目の人、高目の中で高目の人がこっちに入ってきておったら効く効
果は出やすいのです。意図的に低い人がこっちに集められたら、こっち側は余り下がら
ないというお話にもなってくるわけです。だから、公平に分けているということが非常
に重要であるわけです。そして、こっち側健康食品をとってもらう。それで、にせの健
康食品というの、変なにせのというようになっていますが、例えば何かジュースのよう
なものの中に、ある血圧に効く関与成分が入っているとしたら、こちらにも色もにおい
もそっくりでその成分の入っていないものを飲んでもらうと、食べてもらうということ
をするわけです。
 なぜそんなことをするかといいますと、人間というのは非常にデリケートな動物です
から、これは効くのですよなんて言われたら効く感じになる人もおるのです。私自身も
大学におるとき、大学の給料が少ないので、もちろん文部大臣の許可を得ましたですけ
れども、ちょっと患者を診るのにバイトに行っておりました。子供3人もおりまして、
ばかばかりでしたから、私学へ入れるのに大学教授の給料ではとても行けなかったの
で、バイトに行っていたわけですけれども、私みたいに風邪引き専門医者やと言ってい
たのですけれども、それでも信用して来てくれる患者さんがおったわけです。どうして
も頭痛持ちの人で、いろんなアスピリンとか、皆さん方セデスとか聞かれたことあると
思いますが、そういうのをかなりの量を上げても効かんわけです。私は、ちょっとから
かってやろうぐらいのつもりで、本当はいかんのですけれども、胃薬をちょっと用意し
てきまして、これは実はスイスで最近開発されて、非常にいい、頭の痛みに効く薬であ
るから、一遍やってみますかといってやったなら、そうですか、先生、一遍やってみま
すといって、1週間後に来たら、先生、やっぱりスイスの薬はよく効きますね、頭がす
っきりしましたと、こういうことなのです。実際にあるのです、そういうことが。そう
いったことから、それをにせ薬効果というように言っているのです。ちょっと格好つけ
て言うとプラシーボというのですが、プラシーボ効果というのです。だから、同じよう
なやつを上げるというわけです。
 そして、一定期間たって、健康食品の場合は大体8週間、長いやつでも12週間ほどし
て、そして血圧の平均値を比べて、もしこちらが低いとすれば、こちらが有効であると
いうようになるわけです。しかしながら、この研究は言うはやすし、なかなか行うはが
たしなのです。本当にこういったものを何週間にわたってとってくれるかというわけで
す。飲んでくれるか、食べてくれるかというわけです。なかなかそうはいかんわけです
し、また医者の方も、医者というの……研究する方と言っていいかもしれませんが、健
康食品を与えていると思ったら、その頭の中に効果を見たいという意図がありますか
ら、こちら側に対して、この人に対して健康食品を与えているという人には、ちゃんと
飲んでいますか、どうですかといって丁寧に聞くでしょうし、こちらが与えている方は
余り効果出ない方がいいという意図が自然とあるものですから、飲みましたかと言っ
て、飲んでいませんと言うと、ああ、そうですかというぐらいで済むわけです。こっち
が飲んでいなかったら飲んでくれぬと困りますよとか、こういうふうに言ってきます。
だから、研究する人も飲む人もこういったことを、どちらを飲んでいるかわからないよ
うにしておくということも要求されるのです。そういったこともあって、なかなかこの
研究は言うはやすし、行うはがたしの研究ですし、途中でもうこんなもの飲むのやめる
べやといってやめてしまう人もあるわけです、こっちにも出てくるかもしれません。そ
ういったことで、難しいのですが、もしそれがきっちりと行われたら、有効であるとい
うわけです。そういった研究が介入研究と言われているわけです。
 そういった研究が積み重なってくると、はい、次スライドお願いします。いろいろま
ず有効というように言えるわけです。それから、一応有効性というのはここに6段階ぐ
らいに一般的には分けられてありますが、ほぼ有効というもの以上が、後からお話しし
ます特定保健用食品と言われているものです。なかなかほぼと恐らくとどっちがどっち
やねんというとなかなか難しいので、英語で書いていますが、こっちがほぼ有効という
のはライクリー、あるいはプロバブリーという英語を使います。それでポッシブリーラ
イクというものはまだ可能性はあるけれどもなという段階であるわけです。いずれにし
ましてもこの有効性というのはこのように大きく分けて分類されています。
 次は、きょうの主題であります安全性であります。健康食品で安全性が問題になって
くるのは成分自身によるものがありますが、やはり植物、あるいは動物を起源にしてお
りますから、原則的にはそのもの自身は安全であります。しかしながら、錠剤、カプセ
ルで濃縮されているものにいくと害が出てくる可能性がありますが、関与成分自身での
問題があります。
 それから、もう一つ、利用方法の問題があります。非常に長い間にわたってとってお
るとか、大量にとっておる、今の錠剤、カプセルなんかそうです、という問題がありま
す。
 それから、利用者側の要因があります。例えば高齢者とか赤ちゃんとか妊婦さんと
か、あるいはアレルギー体質が一番大きく問題ありますが、そういった体質上の問題も
あります。
 それから、品質の問題があります。途中で何か変なものが入ってきたということがあ
りますし、今度は意図的に医薬品等、悪いものという言い方していいのかどうか知りま
せんが、意図的に入っておるという問題もあります。
 それから、医薬品とか他の食品の成分との相互作用で害が起こってくるというのもあ
ります。そういったことを、大きくこの五つを健康食品の場合は考えておかなくてはな
らないわけであります。
 はい、お願いします。例えば健康食品と言われているもので害が起こってきたという
のは幾つかあります。例えば高麗人参のエキスでのぼせや目まいが起こった、顔がほて
ってきた、中には、おお、効いてきたぞと誤解する人もあったそうですが、そういった
ものがあるわけです。幾つかこのように紹介されております。最近ではアマメシバとい
うのがありますが、非常に難しいですが、閉塞性細気管支炎というのが出てきたわけで
すが、日本ではたしか鹿児島県で1人ぐらい出てきたのです。名古屋で2人ぐらい出て
きた事件だったと思いますが、私どもの研究所には中国からの留学生がおりまして、そ
の人が台湾のデータを、中国語でもちろん書いてあるわけですが、チェックしてくれた
わけです。それによりますと、100人以上の人がやはりこういう病気になり死んでいっ
たという例もあるといったことで、直ちに厚生労働省の方は販売禁止と、はっきりする
までは販売禁止というような措置をとったわけであります。こういう例があるというこ
とです。
 それから、実際に今言いましたように、医薬品等が入っておる場合もあります。こん
なところにデキサメタゾンとかというようなものがありますが、例えばリューマチによ
く効いたとか、関節炎によく効いたとかといったときには、副腎皮質ホルモンが入って
いる場合もあったと、こういうことであります。
 健康食品の安全性については、大体五つに分けられております。安全性の場合もやは
りライクリーセーフ、ほぼ安全と、ここではおもしろいことに安全と、絶対的に安全で
あるといったようなものはありません。これは、先ほどの小泉先生のおっしゃる、安全
性はゼロということはあり得ないという話からも来ております。だから、一応ほぼ安全
というようなものでなければなりません。ライクリーセーフ、あるいはプロバブリーセ
ーフということであります。しかしながら、安全性というのは、使用方法に依存しま
す。中には健康食品でものどの中に噴霧するといったようなものもありますし、チュー
インガムのようなものもありますし、ただ食べるだけではありませんが、その使用方法
によってはほぼ安全と言われているものも、使用方法によってはこちらの下の方に入っ
ていくやつもあります。それから、妊婦さんや授乳婦、乳幼児に対しては特別の配慮が
必要である。はっきり言ってやめておきなさいということであります。
 そこで、健康食品の中で、そういう有効性と安全性の確認されたものを厚生労働省は
保健機能食品という名前をつけました。その中に二つあります。これ特定保健用食品と
いうので、一つずつの商品について安全性と有効性を確認できたものについて、こうい
うマーク、見られたことがありますが、特定保健用食品というものです。これがトクホ
と片仮名でよく言われることもあります。特定保健用食品です。
 それから、今度栄養機能食品というのがもう一つあります。これは、はっきり言いま
してビタミンとミネラルであります。このビタミン、ミネラルについてはもう有効性が
確実に認められています。そして、安全性については、一定の量以下であれば安全であ
ることもわかっております。そういったことが守られておれば、自由に栄養機能食品と
して販売してもよろしいということになっております。この二つあるということで、こ
の言葉どうか覚えておいていただきたいと思います。
 そういった特定保健用食品が創設された背景というのがあります。それは、高齢化社
会になってきまして、生活習慣病の予防をしたいという一般の人たちのニードがありま
すし、先ほど言いましたような関与成分の研究が非常に進んできました。そういったこ
とで、保健的な作用を有する、さっき言いました健康の維持増進に資するもの、そうい
ったものを活用していくというようなことから出てきたわけであります。食品を選ぶと
きに不正確あるいは科学的な根拠のない情報の混乱防止のために、国が科学的根拠に基
づく情報提供を積極的に行っていこうというところから生まれてきたわけであります。
 どういうものがあるかというと、おなかの調子を整える食品というものがあります。
これはっきり言いまして便秘に効くわけですけれども、便秘という言葉は医薬品で使っ
てもいいのですが、食品には使ってはいけないのでこういう表現をしておるということ
です。それから、血圧高目の方に適する食品といいます。これは高血圧という病名が使
えないからであります。血圧が高目の方に適する食品。こういったことでコレステロー
ルが高目の方、血糖が気になる方、だから糖尿病とかという言葉が使えないからです。
それから、ミネラルの吸収を助ける、食後の血中の中性脂肪を抑える、血中の中性脂肪
高い人の話なのですが、そういうことです。それから、虫歯の原因になりにくい食品。
こういったものがあるということであります。
 はい、お願いします。次は、栄養機能食品ですが、ビタミンについてはここで12個、
ミネラルについては五つ認められていますが、これは本質的にはダイエットをしている
女性とか、高齢者とか、独居者などで栄養素補給の必要のある人向きであるというわけ
です。先ほども言いましたように、こういったものは医薬品でも売っていますし、スー
パーやコンビニでもこういったものが売られています。医薬品とも売られていますし、
栄養機能食品でもあります。値段的に言うと同じものですが、栄養機能食品の方が安い
です。
 表示はどのようにしておるかというのが、ビタミンAを例にしてありますが、これが
栄養素の機能の表示です。ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。ビタ
ミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素ですと書いてある。薬にはビタミンA
の適用症、夜盲症と書いてありますね。皆さん方はご存じですよね、夜盲症という言葉
は、多分もう今だったら小学校の理科の時間で習われたと思います。でも、病名は使っ
てはならぬというのが食品でありますので、こういう表現をしているのです、夜間の視
力の維持を助ける栄養素。何か東京の公園には、夏になると夜に懐中電灯を持ったおっ
さんが何かペアをのぞきに行くのを助けるみたいだなと言って笑った人があったようで
すけれども、そうではないのです。例えば皆さん方今外に出られて、そしてこっちへ入
ってこられたらちょっと見えにくいですよね。しばらくすると人の顔が見えてきます、
これ暗順応、アンというは暗いという字です。順応というわけですが、それが障害され
る。そして、欠乏すると夜盲症になるというのを食品の場合はこのような表現をしてお
るのだということなのです。
 もう一つ、この栄養機能食品の表示で注意していただきたいものがあります。もうこ
れは大分なくなってはきましたけれども、ここに何か売りたい○○エキスがあるとしま
す。仮にそれが骨粗鬆症に効く可能性がある、さっき言いましたポッシブリーぐらいの
レベルのものが入っているとします。そういったときに、骨粗鬆症ですから、ここへビ
タミンDとか、あるいはカルシウムを添加しておくわけです。そうすると、先ほど言い
ましたように、カルシウムとかビタミンDというのは栄養機能食品であるわけです。本
当はこの会社は○○エキスを売りたいわけです。でも、そういったものを添加しておい
て、栄養機能食品と表示しているのがあるわけです。これは、あたかも○○エキスが栄
養機能食品として表示許可を受けているみたいに思いますが、そうではないわけです。
しかし、これは法律には違反していないのですが、こういったものが大企業でもやり出
したので、これは国民に対して誤解を生むことであるというので、厚生労働省の新開発
食品保健対策室という室がありますが、そこがそういったことをやめるようにという通
知を出してぐっと減ってきましたが、これも注意しておいてほしいと思います。
 もう一つ、この保健効果に関連した食品で、こういう日本健康・栄養食品協会がこう
いう何か心臓を手のひらに乗せているようなマークをつけているのがあります。これを
JHFAマークといって、何かえらい先生が新聞広告に顔写真つきで載っておるものが
ありますが、これはその有効性を言っておるものではありません。効き目を保証してい
るのではなくて、品質の保証であるというものです。そういったものがあるということ
をちょっと覚えておいてください。これは品質は保証されています。しかし、有効性を
保証しているのは保健機能食品、つまり特定保健用食品と栄養機能食品であるというこ
とであります。
 そこで、そういった健康食品の安全性や有効性に関する情報というのは、特に有効性
等に関する情報というのは、日本にはほとんどないのが現状であります。いろんな本が
出ておりますが、それは売らぬかなの姿勢が強い、つまり業者側からのものが結構多い
ようです。すべてがすべてそうであるとは言えませんが、あります。何か有名な人が監
修しているという本もあるようですが、そういったものも怪しいものが多いようです。
そこで、厚生労働省から指導をいただいて、私どもはこういうサイトをつくりました。
これが私どものホームページです。ホームページのここにこれあります。これクリック
しますと、はい、お願いします。こういうサイトを開くことができます。健康食品につ
いては、今のところ約100食品についてそういう有効性はどれぐらいのレベルか、安全
性はどうかというのをやっております。これ新聞に出たものですからこの7月、8月で
は毎月50万件のアクセスがありまして、なかなか到達できんというぐらいの人気商品、
無料ですので商品ではないですが、人気サイトになっております。
 これどういうことか。目的は食品栄養等が関係した健康障害から一般消費者を守るた
めに食品、栄養の専門職業人、特に後からお話ししますが、NRという専門職業に私ど
もが認定しておりますが、お互いに協力して必要な情報の収集、把握、蓄積を行い、こ
れリスクコミュニケーションです、情報を共有して、活動しやすくするためのシステム
をつくりました。有効性については、科学的根拠に基づいて何々先生が言ったとか、学
会発表が1回のみあったとか、そうではなくて、いろんな文献を調べて、有効性がどれ
ぐらいのレベルになるか、特に先ほど言いました介入研究のありなしを重んじてそうい
う情報を提供するようにしたわけです。一般消費者に対して、適切な助言や指導を行
い、健全な食生活の推進が図れる体制を整えていくというのでそういうネットワークを
構築しました。
 ここの特色が私どもの中にプロジェクトチームをつくっております。そして、内外の
文献を収集してきますし、先ほどのホームページのほかのところを見ますと、栄養や健
康に関する健康食品以外の情報があります。そこをも照らし合わせて、私どもは直接は
こういう食品栄養の専門家に情報を提供する、もちろん一般の人もこのネットワークに
アクセスできますが、こういった人がそういう専門的な知識をかみ砕いて、わかりやす
い形で消費者の方に提供するというシステムであります。どうか関心のある方はのぞい
てみてください。
 ちょっと時間過ぎてまいりましたが……。次お願いします。これ書いてありますが、
3月21日の朝日新聞にキーワードの周辺、サプリメントというのがありました。大阪府
堺市の会社員、島田賢一さん24歳は、約1年前からサプリメントにはまっている。頭が
すっきりすると感じるDHA入り錠剤と内臓にいいと思う黒酢のカプセルが愛用品で、
朝食のときに胃潰瘍などの原因になるピロリ菌を抑えるとされるLG21乳酸菌入りのヨ
ーグルトドリンクを流し込む。これ新聞記事そのまま書いているのですが、薬局の店頭
に並ぶサプリメントの効能書きを読んでいると、1時間はあっという間に過ぎる。だか
ら、毎日サプリメントに1時間も使える暇な人かなと思っているのですけれども、毎月
6,000円使っている。ちょうど月平均のたばこ代みたいな感じかもしれません。
 はい、お願いします。職場はきつい3交代制。そのくせサプリメント屋に1時間行け
るらしいですけれども。酒、たばこもやめられない。将来の成人病が心配になってきた
ところに家族や知人の薦めもあって飲み始めた。栄養研究所のサイトを見ていただいた
らよかったのですが。食事は1日30品目を心がけているが、酢の物や青魚を毎日とるの
は難しい。もうサプリメントは欠かせませんと、こういう記事が載っておったわけで
す。
 某国立研究所の理事長は、最後にこれだけを申しました。健康の維持、増進にはまず
日常の食事が基本です。さらに、運動、労働、休養、睡眠、たばこ、酒なども関係しま
す。これらを適切に営むことが第一であります。サプリメントだけで健康になるとは考
えるべきではありません。つまり特定保健用食品であれ、栄養機能食品であれ、あくま
でもどれか健康食品を選ぶときの参考にしてほしいということであって、それを必ずし
も厚生労働省や私どもがどんどんやりなさいよと勧めているものではないのです。多く
の健康食品の中で、これは安全性と有効性が確かめられているものですよというレベル
の話であるということをご理解していただきたいと思います。
 つまり健康の維持、増進には健全な食生活、休養、運動といったものをやってくださ
い。そして、健康のためにはたばこをやめること、お酒もほどほどにすることをお忘れ
なく。ほどほどと言ったら飲兵衛は1升だけでもほどほどみたいに言うのでいかんので
すけれども、日本酒でいうと1合、ビールでいうと中瓶1杯、ワインでありますとグラ
ス2杯ぐらい、ウイスキーですとダブル1杯ぐらいです。全部と違います。どれかで
す。食品だけでは健康にはなりません。ここだけもなりません。健康食品においておや
であります。
 もう一つ、NRというサイトが私どものところにあります。それはどういうことかと
いいますと、はい、お願いします。これを、栄養情報担当者というのをニュートリッシ
ョナルリープレゼンターティブということで、NRといいます。というのは、医薬品情
報提供者をメディカルリープレゼンターティブといいますので、それをもじってNRに
したわけであります。どういうことかといいますと、これは健康食品のアドバイザーで
す。私どもは、栄養情報担当者、NRというふうにやりました。基礎学力としては、大
体管理栄養士や薬剤師などを念頭に置いておりますが、そういったことをしていない、
例えばですが、文化系の人であれば、そういう基礎学力があるかどうかという資格確認
試験をやり、それの合格者であることというのをやっています。先ほど一番最初に示し
ました、右側の方に通常の食品がありました。医薬品が左側にありました。その真ん中
に健康食品がありました。通常の食品は管理栄養士です。医薬品は薬剤師です。ここの
真ん中の専門家ということです。指定した講座で終了した人に私どもはその認定試験を
して、合格者にその認定書を渡していって、健康食品のアドバイザーを育てていこうと
しております。ペーパードライバーでは困りますので、3年間の間に、いわゆる卒後教
育的なものを受けてもらった人について更新するというシステムをやっております。
 科目としてはこんなもので、栄養学や臨床医学や薬学の基本的な知識に加えて、健康
食品のことをさまざまな形で教えておりますし、アドバイスをする、そういう技術も教
えていますし、倫理、要するに買え買え買えばかりではいかん、飲め飲めばかりではい
かん、そういう倫理のこともマスターしていただこうというふうにしております。ここ
でそういう資格ある方はどうぞ講座を受けてトライしていただきたいと思います。
 いろいろ健康食品はありますが、その中で有効性と安全性がまず科学的に証明された
ものが特定保健用食品であり、栄養機能食品であります。これをどんどんとってという
ことを必ずしも勧めているわけではないということで、私の話は終わりたいと思いま
す。ちょっと10分も延長してしまいまして、申しわけありません。

〇司会
 ありがとうございました。
 それでは、ここで10分程度休憩を設けさせていただきたいと思います。パネルディス
カッションの方は午後2時55分から開始したいと思いますので、それまでにお席の方に
お戻りいただきますようよろしくお願いいたします。

 ( 休憩 )


 5 パネルディスカッション


〇コーディネーター
 それでは、時間になりましたので、パネルディスカッションに移らせていただきま
す。
 まず初めに、本日のパネリストについてご紹介させていただきます。
 私の隣から、先ほど講演いただきました小泉委員でございます。
 そのお隣が田中理事長でございます。
 消費者の立場を代表された方ということで、いわて生活協同組合常勤理事の金子成子
様でございます。
 また、事業者の立場という形で、岩手畜産流通センター品質保証室長の内山氏様でご
ざいます。
 また、行政ということで、先ほどあいさつさせていただきました松本参事官でござい
ます。
 それから、農林水産省消費・安全局の姫田消費者情報官消費者情報官でございます。
 それから、岩手県環境生活部環境生活企画室食の安全安心推進担当課長の菊池正佳様
でございます。
 本日のパネルディスカッションの進め方ですが、テーマごとに進めさせていただきた
いと思います。複数のテーマについてご意見がございます場合には、一度に複数のもの
を発言いただくのではなくて、それぞれのテーマに関するものについて1回ずつご発言
いただきますようお願いいたします。また、会場の皆様にもご発言いただく機会を設け
たいと考えております。ご発言いただく場合には手を挙げていただきますので、その場
合コーディネーターの方で発言される方を指名させていただきます。係の者がマイクを
持って順番に伺いますので、差し支えなければご職業、お名前などをおっしゃられた上
でご発言をお願いしたいと思います。
 パネルディスカッションに入ります前に、岩手県の安心、安全の取り組みということ
で、まず菊池様からご紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。

〇菊池正佳岩手県環境生活部環境生活企画室安全安心推進担当課長
 それでは、私の方から県の取り組みについてご紹介したいと思います。
 お手元に二つ冊子がございます。岩手県食の安全・安心に関する基本方針、それから
岩手県食の安全・安心アクションプランでございます。この基本方針を踏まえまして、
このアクションプラン、これは実際の行動計画でございますが、県が今食の安全、安心
に関してさまざまな取り組みを行っております。
 まず位置づけをちょっとお話しさせていただきたいのですが、知事選挙で、増田知事
はローカルマニフェストということで、自分の政策を掲げて選挙に出たわけですが、そ
れを受けまして、今県では40の政策ということで、特に力を入れる政策を40掲げており
ます。その中に食の安全安心の推進が入ってございまして、それも食の安全安心の推進
だけではなくて、消費者の視点に立った食の安全安心の推進、これが今の岩手県政の私
どもが課せられたそういう使命と考えております。
 これをどのような形で実現していくかということなのですが、実はこの基本方針を策
定するに当たりまして、食の安全安心委員会を条例で設置をしております。現在19名の
委員さんにお願いしているわけですけれども、消費者代表の方々、事業者、生産者を代
表する方々、それから学識経験の方々にお務めいただいております。
 この基本方針を策定する際に、どういう形で進めたかといいますと、委員さん方にい
ろいろ何回も議論を重ねていただき、その考え方を整理してつくったものがこの基本方
針でございまして、行政の立場から、こうあるべきだというものではございません。委
員の皆様がそれぞれのお立場から、食の安全安心を推進する上で必要だという、そうい
う議論を踏まえたものでございまして、この文章も委員さん方の中で起草委員会をつく
ってやったものでございまして、これは県民の代表の方々がつくった基本方針であると
いうことです。この基本方針にはどういうふうな視点を持って食の安全安心を進めてい
くかということですが、ここにありますように、1番目に掲げているのが消費者の視
点、次に、協働で行うのだ、行政だけではありませんと。つまり生産者から、事業者か
ら、消費者から行政も一緒になって進めましょうということです。それから、環境に配
慮するという、この三つを考えながら、食の安全、安心を進めようというものでござい
ます。
 そして、この基本方針に従いまして、アクションプランの方は、取組みの方法としま
して六つ掲げておりまして、これらの基本方針を踏まえて県がどのような取組みをして
いくかというものを全庁的にピックアップしたもので、これが食の安全安心を推進する
ための県の事業を体系づけているというものでございます。開いていただきますと、事
業・取組みのあらましとありますが、これは生産から流通、加工、そして調理、販売と
いうことを系列的に、しかも六つの取組みの基本方針で定められておりまして、それに
合った形で事業を整理しているものでございます。これは、概要版ですので、詳しいも
のは、これは県のホームページをごらんいただきますと、食の安全、安心というところ
がありますので、そこを開いていただければ出てまいりますので、後で詳しい部分をご
参照いただければと思います。
 このアクションプランは、18年度までの4年計画でございます。これは、先ほどから
申し上げましたように、基本方針の取組みの方向ごとに県が行うべき事業、取組みを整
理しておりまして、延べ63の事業を掲げております。それぞれに対しまして目標を定め
ており、18年度までにどうするのかということを掲げております。さらに、その目標値
に対して毎年県がその事業をどの程度進捗しているかということを食の安全安心委員会
にお諮りをして意見や提言、それからご指導いただいて、それを県の施策に反映させる
という仕組みをとっております。したがいまして、この食の安全安心につきましては、
基本方針ができるときから、それから今現実に推進するという上で、県民の代表で構成
しております食の安全安心の委員の皆様から常にいろいろなご指導を得ながら進めてい
るという、そういう性格のものでございます。
 そういうことで、私どもとしましてはそれぞれの事業について全庁的に一生懸命取り
組んでいるわけですが、個々の部分につきましてはここに17の主な指標を掲げておりま
すが、このようなことを中心としながらやっておりまして、委員会もすべて公開で行っ
ております。そして、その委員会の内容につきましてもホームページに公表する形でご
ざいます。県行政の中で一つの協働をしながら進めていくという、ことでございます
が、18年度までの目標といたしまして、ここにありますように不安を感じない人の割合
を50%にするという、非常にハードルの高い目標でございますが、今そういう形で進め
ている状況でございます。
 私の方から考え方を中心にお話しさせていただきました。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 それでは、パネルディスカッションの本題の方に入っていきたいと思いますが、お手
元の資料の中に資料3という横長の資料を入れさせていただいていると思います。こち
らは、本日の意見交換会お申し込みの際に、事前にご意見、ご質問等お寄せいただいた
ものについてまとめさせていただいたものでございます。テーマとしては大きく三つご
ざいまして、1が食品安全行政の枠組みについて、これはリスクコミュニケーションも
含めてということでございますが、2が健康食品について、3、その他ということでご
ざいます。いただいた質問に対して、万が一こちらの方で意見交換のテーマとして実際
に議論できない場合もございますので、回答の方は右側の方につけさせていただいてお
ります。この1、2、3のテーマについてそれぞれ進めていきたいと思います。
 まず、1の食品安全行政の枠組みについてということで少し議論をしてみたいと思い
ます。いただいている質問について簡単にご紹介しますと、食の安全について、日本は
世界一厳しいことを世界に発信する努力を望むと。そのためには、安全な食料を基本に
した自給率の向上が不可欠であると。加えて流通、加工業者の食に対する倫理観、モラ
ルの向上に努めてほしいというようなご意見でございました。一応回答といたしまして
は、実際にリスクと市民が考えているリスクの間には、やはりギャップがあるというふ
うに言われておりまして、そういった考え方の違いのようなものがリスクコミュニケー
ション自体を難しくしている要因の一つであるというふうに言われております。また、
安全な食料供給を前提とした自給率向上のためのさまざまな施策につきましては、農林
水産省の方で取り組みが行われているところでございます。3点目の事業者等のモラル
向上の関連では、今般改正されました食品衛生法の中で、食品の安全確保に関する食品
等事業者の責務が明確にされたところでございます。本日行っておりますような意見交
換会などの機会を通じて、事業者の方、消費者の方も含め、その考え方などの普及に努
めているところでございます。昨年は、法改正の説明ということで、国内数カ所でござ
いますが、特にこういうような事業者として新たな食の安全確保に関する責務が明確に
されたということを各地でご説明させていただいたというような状況でございます。
 一応このような感じでの回答となりますが、もしこのご質問をお寄せいただいた方で
ちょっと私の聞きたかったこととは違うとかもう少し突っ込んで聞いてみたいというよ
うなことございましたらご発言いただければと思いますが、どなたかいらっしゃいます
でしょうか。
 ○参加者1 1番目の消費者の立場で質問させていただきました。BSEの問題につ
いても今、日米の間でいろいろ、20カ月とか24カ月等々、突き合わせてやっているよう
でありますし、これが解決したにしてもまだまだ私どもとしては納得できない部分があ
ります。というのは、岩手県は非常に厳しくやっているということが考えられますの
で、そこらあたりも含めてもっとBSEについては意を込めてほしいと思うし、倫理観
とかモラルはいろいろなさっていることは承知しておりますけれども、現実にいろいろ
出てきている不当表示を初め、そういったものがいかに不徹底であるからだんだんとま
らないで出てきているという状況ではないか、摘発を強くすればさらに出てくるのでは
ないかという思いがしておりますので、より一層厳しく対応していただきたいというこ
とを望んでおるわけであります。さらに厳しくできるのかどうかというあたりもお聞き
したいということであります。
 以上です。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。実際モラルの話では、我々もこうやって普及、啓発をして
いるところですが、さらには県の方の取組みの中でも、表示ウオッチャーというような
制度なども設けられておりますし、確かにご指摘のとおり、厳しくすればするほど出て
くるというようなことはあるかとは思います。
 何かパネラーの方で追加のコメントされる方はいらっしゃいますか。
 姫田情報官、お願いいたします。

〇姫田消費者情報官農林水産省消費・安全局消費者情報官
 企業の倫理観ということにつきましては、我々の食品産業をあずかっております農林
水産省としてもいろんな段階で、いわゆる企業のコンプライアンスを高めるようにとい
うふうなことでお話しさせていただいたり、指導させていただいたりしているところで
ございます。さらに、そういうことだけではなくて、いわゆる企業を信じないという
か、そういう行政のやり方もございまして、お手元の参考資料の食の安全・安心のため
の政策大綱というのがございますが、それの6ページに、私ども食糧事務所を農政事務
所ということにしまして、その中で6,000人の職員のうち2,000人が食品の安全に関する
仕事を去年の7月からしております。その中で、食品表示に対しての調査ということ
で、例えばウナギ加工品ですとかお米とか和牛とか、そういうものについての表示の調
査をやっています。それぞれのところで、その表示が正しいかどうかということについ
て、仕入れ段階までさかのぼってちゃんときちっと、いわゆる仕入れ先からやったのか
というようなことも含めて調べているということ、それともう一つはウナギとか新米と
か和牛については、一部抜き打ちでDNA検査もやろうと。ウナギについては、中国産
ですと日本産とは少し品種が、少し小さな品種の差ですけれども、品種が違いますの
で、中国産の品種を使っているとDNA検査するとわかるということ、あるいはお米で
も古いお米を使うと検査するとわかるというようなこと、そして和牛につきましては当
然和牛とほかの交雑種や外国牛とDNA検査するとわかるというようなことでございま
して、こういうようなことも含めて抜き打ち検査をして、表示の適正化を図ろうという
ようなことを行っているところでございます。
 いずれにしてもこれからこういうことを契機に企業の倫理観、コンプライアンスを高
めていただくということをモットーに進めてまいりたいと思っております。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 それでは、パネラーの方にも少し意見を求めてみたいと思いますが、金子様、この食
の安全行政の枠組みについてということで何かご発言ありますでしょうか。

〇金子成子いわて生活協同組合常勤理事・組織企画部長
 いわて生協の金子と申します。
 先ほど食品安全委員の先生の方からも現在取り組んでいる食品委員会でのリスク評価
についてご説明がいろいろありました。それで、やっぱりBSEの反省と、それから全
国の生協での食の安全行政の強化を求める運動によって、こういった食品安全基本法な
り、食品安全委員会なり、食の安全行政のその枠組みがきちんとつくられたということ
は一定前進というふうに感じております。
 それで、ただ始まって1年ということなのですが、多くの消費者の実感としては、で
は果たして何が安心になったのかなというと、まだ1年ということもあるとは思います
けれども、実態としては消費者の感覚としては食の安全行政が本当に進んでいるかとい
うふうに問われればそういう実感ができないというのがまだ今の現在だというふうに思
います。それは、この1年の間でも、鳥インフルエンザの問題もそうですけれども、こ
の間余り大きく取り上げられておりませんけれども、やはり日本で禁止されている農薬
が冷凍の輸入の野菜から相変わらず検出されているだとか、それから輸入食品の中から
やはり日本では禁止されている添加物が出ているだとか、最近はもう当たり前になって
余り多く報道はされませんけれども、結果としてはそういったことがいまだに続いてい
るということが、やはり消費者にとっては本当に食の安全行政が進んでいるかと言われ
ると、そこが実感できないというのが率直な思いなり実態ではないかなというふうに思
っています。
 それで、考えてみますと、基本的に日本では食の安全の問題だけではないのですが、
何か事件や問題が起きてから、基本的に後から対策が打たれるというのがずっとこの間
の国の対策のあり方だったのではないかなということで、今回の新しい枠組みの中で、
私たち消費者としてはやはり何か事件や問題が起きてから対策ということではなくて、
起きない、未然に防ぐということを期待しているというふうに思うのですけれども、も
っとやはり評価が未確定な物質については、評価が確定するまで使用禁止をするとい
う、予防原則に立ったリスク評価なり、リスク管理なりというのをもっとやっぱり徹底
してほしいなというのが私たちの願いであり、要望であるというのが1点です。
 それから、先ほどリスク分析についても詳しくいろいろご説明が出ておりましたけれ
ども、現状の中ではさらにADIというのを決めるのに100分の1の評価でということな
のでしょうけれども、やっぱり日常の生活の中では単体ではなくて、食品添加物もです
し、農薬もですし、それからいろんな化学物質が今やっぱり毎日の食事の中で80種類、
100種類とっているわけですから、それらがやっぱり総合的にとっていったときにどう
なのか、そういう視点でのリスク評価ということも考えていっていただきたいなという
のを先ほどの説明も聞きながら感じております。
 それから、リスク管理の点になるのかもしれませんけれども、やはりリスク評価とし
て使ってもいいというふうに出たとしても、国民の不安なり暮らしの状況から考えて、
リスク管理の時点で使わないというものだってあり得るというふうに思います。例えば
先ほど会場からのご発言でもBSEのことが出されましたが、何か先ほどのご説明を聞
くと20カ月未満の検査は今必要ではないというのが科学的な結論というふうにお聞きし
たのですけれども、でも先ほどおっしゃったように、BSEに関してはまだ異常プリオ
ン蓄積の経過であるとか、BSE発症のメカニズムというのがきちんとやっぱりわかっ
ていないという問題があるというふうに思います。BSEが発生した時点でも、世界的
には30カ月以上の牛の検査で十分だというのを日本は全頭検査をしますということで、
消費者の側も一定安心もしたわけですけれども、実際ここやってくる中で、21カ月、23
カ月という若い牛のBSEの感染もそのことによって発見されていると。例えば世界的
な30カ月以上の検査でやっていれば、それはわからなかったわけですので、本当に今こ
の時点で消費者の不安、それからまだまだ科学的にもわかっていないことも多い中で、
本当にやめることがいいのかというところのリスク管理の部分で、そういった国民の不
安なりという部分も含めて判断を考えるべきではないかというふうに思います。
 それから最後に、リスクコミュニケーションの点についてですが、こういった場が持
たれるというのは非常にいいと思いますし、それからインターネットでも都度都度情報
が公開されております。ただ、そのインターネットで公開された情報に意見をというふ
うに言われても、なかなか専門家でない私たちにとっては意見が出しにくいというのが
実態だというふうに思います。
 それで、本当に考えなければならない問題、例えば先ほどの健康食品のお話でも誇大
広告にだまされないようにという先生のお話があったのですけれども、どういった点を
やはり気をつけていったらいいのかということとか、やっぱりもっと形だけのリスクコ
ミュニケーションではなくて、マスコミ等ももっと広く活用しての、消費者にわかりや
すい情報提供、それからそれは健康食品だけではなくて、食の安全行政でも行っている
取り組み、それからこういった物質についてはこんな評価でということも含めてもっと
一般消費者なりにもわかりやすい情報提供なりというのもリスクコミュニケーションと
しては非常に重要ではないかなというふうに思っております。
 以上です。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 まず、予防原則の話についてはそもそもリスク分析が導入されたという中で、もとも
と事故の後始末ではなくて、可能な範囲で事故を未然に防いで、リスクを最小限にする
ためのプロセスとして、今回新たな取り組みが始まってきているところだと思います。
 あと化学物質とか農薬の総合的な評価のところについては、できれば松本参事官の方
からちょっとお答えいただければと思います。
 それから、3点目のBSEのところについては、少し後でまとめて議論する時間を設
けたいと思いますので、そこで議論したいと思います。
 あとリスクコミュニケーションについて幾つかご指摘いただいたところですが、我々
のリスクコミュニケーションというのもまだ現在進行中のようなところもございます。
この辺につきまして、消費者情報官からも少しコメントいただければと思います。
 それでは、まず総合的な評価の部分で、松本参事官、お願いします。

〇松本参事官
 皆さん方の参考資料のところで、食品の安全確保に関する取組という厚生労働省の、
A4の横長の資料が入っておりますが、そこの11ページをお開きいただきたいと思いま
す。
 これは、食品添加物の安全確保ということで、添加物の種類といたしましては、そこ
にありますように指定添加物のほかに既存の添加物、あるいは天然香料、一般の飲食物
添加物というものがあるわけでございまして、これらについては必要に応じて規格とか
使用基準を設定すると。そのところでは、先ほどお話がありましたけれども、全体の実
際の食事をどのような形でとっているかというところで、それで割り返して大体どれく
らいとっているというところで、それは食品を経由しての摂取量ということになるわけ
ですけれども、それを調査いたしまして、そういうのでひっかからないということで、
使用基準を定めておるというところでございます。特にそこの部分につきましては、小
泉先生から話がありましたけれども、データとしては動物実験のデータ等しかありませ
んので、種の違いによる部分と個人差の部分で安全率を100倍とって基準を決めている
と。そういうところで、ここのところで金子さんがおっしゃるように、いろんなものを
食べていていろんなものが入ってくるではないかという心配がありますので、それにつ
きましてはいろんな実際摂取されているような状況を勘案して、その調査もしながら決
めているというところであります。
 それと、輸入食品のところでございましたけれども、7ページのところをちょっとお
開きいただきたいと思います。輸入食品につきましてはその次のところで出てきますけ
れども、全国31カ所に検疫所がありまして、そこで、モニタリング検査等々やっており
ます。特に横浜と神戸に分析センターがありまして、そういう規定以外の残留農薬がな
いかとかを調べています。違反すれば回収命令をかけたり、あるいはその相手国に対し
ても包括で輸入規制ができるような形にはなっております。ですから、そういうところ
で輸入の食品についても安全を確保していると。
 ただ、こういうものをこうやっていますよということはなかなかお見せできないとこ
ろがつらいところでございまして、こういうリスクコミュニケーションの機会を通じて
ご紹介していますが、やっぱり現場がどうやっているか見ていただくのが一番理解して
もらえると思います。それこそ冷凍倉庫に行って肉だとか食べ物だとか抜き取ってき
て、それをすりつぶして分析装置にかけて、そういう規制物質が入っていないかどうか
分析している一連の作業をお見せできないところがなかなか歯がゆいところであります
けれども、いろんな機会を通じて情報提供していきたいと思っております。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。

〇姫田消費者情報官
 農水省の消費者情報官でございます。
 先ほどの輸入食品の続きを言いますと、まずは農水省の方でも消費技術センターとい
うところで実際に今度、厚労省は水際でやっていただいていますけれども、我々は実際
に市場に、スーパーに行って買ってきて、ですから当然抜き打ちになりますけれども、
内外の輸入食品も国産のものも含めて買ってきて、これをまた残留農薬なんかについて
の検査しているというようなことをやっております。現実は昨年1年間で1,000点近く
やりましたけれども、いわゆる基準よりも低い値で、基準をクリアする値で出たものは
ございましたけれども、基準をオーバーするものはなかったというのが実際のところで
ございます。
 それから、リスクコミュニケーションのことでございますけれども、まず一つは確か
にインターネットで出ているパブリックコメントについてはかなり具体的な、いわゆる
データ的なものがたくさんあって非常に見づらいという意見が出ております。むしろ我
々パブリックコメントという場よりも、こういうような形でリスクコミュニケーション
をやっていくということで、去年の7月以降で3省でやってきたリスクコミュニケーシ
ョン、50回ぐらいに達しております。私どもは、具体的に例えば残留農薬とかカドミウ
ムとか、あるいは鳥インフルエンザとかBSEとか、そういう具体的に焦点を絞ってや
っているものも東京でやっておりまして、それは今後全国の地域でもやっていこうとい
うようなことも考えております。
 それから、お手元に皆さん方に一番いい情報の提供方法ということを我々考えており
まして、新聞とかいろんな情報提供の手段があるのですけれども、直接的に皆さん方に
情報提供できたらどうかということで、お手元に緑色の1枚紙が入っております。食の
安全・安心トピックスというものでございますが、これ私どもの方で食品安全委員会と
厚生労働省と農林水産省、それから環境省もですけれども、その4省で食の安全に関す
るような情報、多少食育的なものも含まれますけれども、そういうものがほぼ毎日毎日
大量にプレスリリースしております。そのプレスリリースについて、ホームページにつ
るすわけなのですけれども、それホームページを皆さん方探すの大変だろうということ
で、毎日そういうものを我々の方でピックアップいたしまして、ヘッドラインを皆さん
方にメールでお送りしようということで、これは毎日クリックしておくと4省から発表
された具体的なものについて直接お届けできると。だから、ちょっと新聞と違うではな
いのということもあったとしても、我々のストレートな情報が今お届けできるというよ
うなことでの試みとしてやっております。
 まだまだリスクコミュニケーションというのを我々の3省で始めてから日が浅うござ
いまして1年余りでございます。いろんな形で、どうしてももともとがヨーロッパで始
まったものですから、いわゆる毎日ディベートを学校で練習しているような世界から、
今はなかなか発言するのが人の顔を見ながら発言するというところに我が国来ているわ
けなので、それをやはり我が国として、いわゆる皆さん方の、関係者の意見がうまく我
々とお互いに意見交換できるように、そしてその施策に反映できるようにということ、
いろんな形で模索していきたいと思っておりますので、ご意見あればどんどんお寄せい
ただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 金子様、何か追加のコメントございますでしょうか。

〇金子成子
 今輸入食品の検査の実態について触れていただいたのですけれども、やはり今カロリ
ーベースで6割を輸入食品に頼っていますし、この間いろいろ起きてきている食の安全
の問題も輸入食品にかかわって起きてきている問題が多くなっていますので、そういう
意味でやはり消費者の側としても検査をきちんとしてほしいという要望があるのですけ
れども、今お聞きした数字で見ますと、8.4%がというか、しか検査されていないとい
うふうに私たちの方からはどうしても見てしまうのですが、たしか01年度は6.8%とい
う検査の割合というふうに聞いたことがありますので、それよりは上がってきているか
というふうに思うのですけれども、年々ふえてきている輸入食品の割合にしてはやはり
検査員の数であったりとか、体制はまだまだ薄いのではないかと。やっぱりもっとここ
のところに力を入れてほしいというふうに思います。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 松本参事官、何か追加のコメントありますでしょうか。

〇松本参事官
 先ほどの資料の9ページに輸入食品の安全確保というところ、そのものずばりがあり
まして、輸入重量あるいは件数の推移を書いています。そこの8.4%とおっしゃったの
は平成14年度の実績で、届出件数に対する割合であります。人をふやすといってもなか
なか急にはふえないというところがあったりしますけれども、厚生労働省といたしまし
てはそこの左、国内流通の手前のモニタリング検査数もふやしておりますし、食品衛生
監視員もわずかではありますけれども、一生懸命努力してふやしております。輸入食品
の検査割合が低いのではないかというあとは効率的な検査ということになろうかと思い
ますが、そういうご心配があるということにつきましては職員それぞれ肝に銘じて、で
きるだけ効率的な検査というふうなことを心がけておるというところでご理解いただき
たいと思います。ただ、そのようなご意見があったということは十分受けとめておきた
いと思います。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 それでは、お時間の関係もございますので、次の健康食品の方のテーマに移りたいと
思います。健康食品につきましては、三つのご意見を寄せていただいております。一口
に健康食品と言っても種類、価格といろいろな商品があり、いかがわしいものも多い
が、どのように考えたらよいか。これにつきましては、先ほど田中理事長のご講演にも
ございましたが、保健機能食品の制度が平成13年から施行されているというようなこと
でございます。健康の保持、増進効果に関する虚偽、誇大表示を禁止するための法改正
も昨年行われたところでして、この規定を適切に運用していきたいというところでござ
いますという回答でございます。
 2点目が、健康食品といっても食事とは違って栄養成分を偏って多く摂取することが
多いと思われるので、成分や飲み合わせが心配されます。外箱への注意事項などはっき
り表示を希望します。健康食品は全くチェック機関がないのでしょうかということで質
問でございます。これにつきましても、先ほどご説明があったかと思いますが、国で制
度化している保健機能食品以外については注意表示等を義務づけていませんが、健康食
品か一般食品かを問わず、食品衛生法において食品を供給している事業者がみずからの
責任において販売品等の安全性を確認することとしているというのが1点と、また先ほ
どご紹介のありました健康食品の安全性、有効性のデータベースというものが開設され
ておりますので、参考にしていただきたいというふうに考えているところでございま
す。
 それから、三つ目ですが、健康食品については原料を水産業者、農業者、加工業者が
製造し、材形等を健康食品業者が加工する。さらに、利用者として医療の関係者がかか
わることになった。それぞれ知識、知識外の部分を抱え、利用者に提供しているが、効
能の研究よりも各業界共通の安全性の基準が重要であるというようなご意見でございま
した。回答の方は、健康食品であっても一般食品と同様に食品衛生法において食品と事
業者の責務として以下のように定められているということで、法律の抜粋が記載されて
おります。食品と事業者は、販売食品等についてみずからの責任においてそれらの安全
性を確保するため、販売食品等の原材料の安全性の確保、その他必要な措置を講ずるよ
う努めなければならない。具体的には錠剤、カプセル状の食品の安全性確保について
は、GMPガイドラインを作成し、製造工程管理による安全性及び有効性の確保を図る
ことのほか、原材料の中に天然に微量に含まれる毒性物質の濃縮のおそれがあり、過剰
摂取による健康被害発生のリスクが否定できないことから、原材料の安全性についても
ガイドラインを示すこととしており、現在内容を検討中です。また、消費者の点につき
ましては、ご意見として賜りたいということでございます。一応このような回答でござ
いますけれども、この3点のご質問をいただいた方でもし何か追加のコメント等ござい
ましたら、ちょっとご発言いただけばと思いますが、何かございますでしょうか。特に
はよろしいでしょうか。
 健康食品もやはり本来健康になりたいという思いでいろいろ飲むわけでございます
が、理事長の最後のスライドにもございましたが、まず一番大切なところというのは、
まず普通の食事なり運動なり、そういったことで健康食品というものはそれにさらにつ
け加えるというようなことなのかというふうに考えます。
 それでは、ご質問いただいた方以外の方で特に健康食品について何かお伺いしたいと
かということございましたら挙手いただければと思いますが。
 こちらの方、お願いします。
 ○参加者2 健康食品に関しましては、一つ目の質問のところの答えのところに健康
増進法による虚偽、誇大広告禁止の件が書いていましたけれども、我々流通業で扱って
いるものの中には、明らかに食品というふうにみなされるものが多いわけですけれど
も、その食品に含まれる成分の健康情報を伝達することが結構あるのです。健康増進法
のこの規定に基づく指導指針なんか読んでみますと他社による効能、効果とかをそのま
ま信じることがないようにちゃんと検証できた情報を正しく提供するようにというふう
なことが書いてあると思います。先ほど先生からご紹介ありましたデータベースの方
で、そうした個別の例えばポリフェノールがどうのこうのというふうな内容について
は、そこに書いてある情報については情報提供する分には虚偽、誇大広告には逆に言う
と当たらないというふうに考えて間違いないのかなという、そういう理解でいいのかな
というのをお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 松本参事官、コメントございますか。

〇松本参事官
 それは、例えば先ほどの栄養研究所の方のデータベースのデータをこうなっています
と提供することをお考えということですか。
 ○参加者2 いや、その情報源まで明らかにするつもりはないのですけれども、それ
をもって一応客観的な根拠があるというふうに判断してもいいのかなという疑問です。

〇松本参事官
 ちょっとなかなかそこまで具体的に言われると私もぱっと即答しかねるのですけれど
も、法に定められたところの範囲ということですけれども、具体的にそこまで即答でき
るような状況ではありませんので、よく調べてご返事したいと思います。

〇コーディネーター
 確かに虚偽とかには多分ならないと思いますので、その辺はまた調べて対応したいと
思います。
 ほかに何かコメントございますでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、三つ目のその他ということで3点、こればらばらに来ていますので、1点
ずつ取り上げていきたいと思います。
 トレーサビリティーの関係で、漬物製造業を営んでいるという方からですけれども、
農水省で市場に集まる野菜の産地や農薬使用履歴等についてトレーサビリティーの運用
テストを行っていると伺っておりますが、どの程度全国に普及しているのか知りたいで
す。盛岡では、市場からの情報は得意先から要求される野菜の証明書に見合うものとは
まだまだ言えない状況ですので、早く整備されたらと感じておりますということでござ
います。回答といたしましては、トレーサビリティーは事業者が自主的に取り組むもの
ですと。平成16年1月、社団法人農協流通研究所の調査によると、農産物についての生
産及び原材料の履歴の記録、保管、提供を行っているものは、回答者のうち農業者は
43.9%、食品製造業者は25.7%となっております。今後一層の普及、促進が必要と考
え、トレーサビリティーシステム導入のためのガイドラインを作成、ホームページ等で
公表し、またトレーサビリティーシステム導入促進対策事業によって機器整備を支援し
ていますというようなことでございます。このコメントについて、情報官からもちょっ
と補足をいただければと思いますが。

〇姫田消費者情報官
 少し補足させていただきます。
 これ担当原課が書いたものですから、事業の話になるものですから少し補足いたしま
す。むしろ先ほど岩手県さんの方から、食の安全・安心に関する基本方針というパンフ
レットの5ページ目にトレーサビリティーシステムとはというような図があります。そ
れで、トレーサビリティーというのは、まず今世の中にトレーサビリティーという名の
つくものが三つぐらいありまして、それが皆さん混同されているのではないかなと思っ
ています。トレーサビリティーというのは、ここに書いてあるようにさかのぼることが
できるという、要するにトレース、アビリティーという、トレースが可能という言葉の
人造語でございます。それで、要するにBSEの反省を含めてBSEが起こったとき
に、えさの記帳が2年しか法律で決めていなかったわけです。そうすると、BSEとい
う病気は潜伏期間が非常に長い、7年とか8年とかかかるものですから、8年前のえさ
をどう食べたかというようなことについては全然わからないという状況だったわけで
す。そして、えさの原料がどうだったかということもわからない状況だったと。ですか
ら、BSEが起こった牛をどうさかのぼっていけば原因に到達できるかということでの
トレースすることが可能なシステムをつくろうということで、牛のトレーサビリティー
ができました。付加的に、消費者の皆さん方の安心を確保するためということで、これ
はどこの産地でできたのかというようなこと。というのは、先ほども虚偽の話がありま
したけれども、どうも牛も銘柄牛怪しいと、あるいは和牛表示をしていても交雑種であ
る場合も多いというようなことがあって、いわゆるこれ安全とは無関係に、商品として
きちっと生産されたものかどうかということを消費者の皆さんにお教えするということ
を含めて10けた表示でどこでできたものかということがわかるようなシステムをつくっ
たわけです。
 ですから、一つは安全のためにさかのぼることができるということができるというこ
と、それあと生産者がわかる、どこで産地ができる、これは安全とは無関係ですから、
ただ安心のために、あるいは付加価値をつけるためにやるものでございます。今食品全
体にやっている一般論として、生産者が今までトマトに農薬をちゃんとまいたかどう
か、いつまいたかどうか、そういうことを、あるいは肥料はどんな肥料をやったかとい
うことを記帳するような習慣、余り多くありませんでした、残念ながら。今現在でも大
分記帳運動やっておりますけれども、やっているのは4割程度という状況でございま
す。ですから、そういう意味では、生産者がどういう生産をやったか、あるいはJAや
土地の流通がどこから仕入れてどこに売ったか、どういうものを売ったかということが
わかるということ、それをきちっと記帳しようではないかということがトレーサビリテ
ィーの本質です。これは、何か起こったときに、例えば厚労省さんの方の検査で農薬が
検出されたと。では、どこの生産地のものか、どこの農家のものかということがわかる
ようなことをやっていこうというのがトレーサビリティーの本質でございます。これ
は、すべての農産品にやっていこうというのが今現在の考え方です。
 それともう一つ、ここで言っておられるのは、多分一部のスーパーで、店頭でぴっと
見たらだれがつくったかということがわかるというものです。これは食品の安全とは全
然関係がございません。要するにだれがつくったか、正しくつくっておれば安全なもの
です。ですから、そういう意味では、これはいわゆる付加価値、やはり安心感をどう醸
成していくかということで、こういうやり方もやっていこうではないかという考え方で
ございます。当然それにはコストがかかります。これ今農林水産省の方では実験事業と
いうことで、一部の導入に対して補助を出していますが、これみんなに補助を出すわけ
ではありません。そして、機械の運用も国が補助を出すわけではございません。これ
は、一部の農産品がそういうものが欲しいという消費者の方に、農産物のバラエティー
としてやっていただく。当然コストとしては最終的には高いものを買ってもいいわよ
と、生産者がわかる農産物の方がいいわよとおっしゃる方がコストを負担していただく
ということになるかと思っております。ですから、考え方として、牛のトレーサビリテ
ィーの考え方、それから一般農産物全体にするトレーサビリティーの考え方、そしてい
わゆる実験事業でやっているトレーサビリティー、こういう三つのものがあるというこ
とをご理解をいただきたいと思います。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 質問をお寄せいただいた方でもし追加の何かコメント等ございましたらご発言いただ
ければと思いますが。特にはよろしいでしょうか。
 それでは、その次の輸入食品の方に入りたいと思いますが、先ほどディスカッション
の中で若干輸入食品についての話題にも触れているところでございます。回答の関係で
の追加の情報といたしましては、監視指導計画というものを本年度からつくるようにな
っていて、その監視指導計画の策定に当たっては、事前にリスクコミュニケーション、
情報の公開及び意見の交換会などを実施するというようなことになっているということ
でございます。また、政令指定要件の廃止ですとか、モニタリング検査を今まで検疫所
で全部やっていたものを民間の機関にも受託できるようにするなど検査数の増大に対応
できるようになったというようなことがあります。それから、一番最後になりますが、
監視指導計画等について、輸入食品の監視業務のホームページというものを設けており
ますので、こちらをご参照くださいというようなことでございます。
 この辺につきまして、何か追加のコメントございましたらご発言いただければと思い
ますが。
 あちらの方、お願いします。一番右の……
 ○参加者3 この質問をさせていただきましたけれども、質問の内容で私は決して輸
入食品を否定しているわけではございません。自給率は高めなければならないと思いま
すけれども、日本では100%自給というのは、これ不可能であります。したがって、輸
入食品すべて反対という考えは毛頭ございません。そういう中にあって、より安全なも
のという観点でこういう質問をさせていただきましたけれども、ここに書いている回答
で大体はわかりましたが、しかし先ほど生協の方からもお話あったように、やはり毎年
のように輸入される食品にいろんな問題が発生しています。したがって、検査を厳しく
しているというのはわかりますが、まだまだやはり不十分ではないかなというのが1点
です。
 それから、二つ目として、国内の工場に対する安全行政と同様に、海外の工場をどう
いうふうに点検しているのか。水際で防ぐというだけではなく、海外工場の点検の実態
について、そのご一端をお聞かせ願えればなというふうに思います。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 参事官、コメントをお願いします。

〇松本参事官
 まだまだ不十分ではないかということにつきましては、あれだけ検査をやっているか
ら見つかってくるというところもあろうかと思いますが、先ほどコーディネーターから
話があった、輸入食品に関する指導計画につきましては、お手元の食品の安全確保に関
する取組の厚生労働省食品安全部の9ページの右上から三つ目の箱の中に記載してあり
ますようにふえているところ全部やるというわけにはなかなかまいらないので、重点
的、効率的な監視指導の実施が一つあります。それと違反を繰り返す食品については、
包括的な輸入禁止ということもとれるようにしております。まだ発動はしておりませ
ん。代表的なところでは、中国からの冷凍ホウレンソウの話がありまして、あのときに
は現地に職員が行って向こうの政府と話し合って、現地を見てきたというのがありま
す。外国の日本に食品を輸出する企業について、調べてはどうかというお話でありま
す。ご要望の趣旨はわかりますけれども、現実問題としては相手国の食品安全行政をあ
る程度尊重しなければなりません。よその国は日本の領土ではないものですから、ちょ
っと限界はあろうかなと思っています。ただ、そういうご意見があったということは十
分理解はしているところであります。
 以上であります。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 何か追加のコメント等ございますか。特にはよろしいでしょうか。
 それでは、三つ目の遺伝子組み換え食品の話になりますが、輸入港付近で輸入菜種の
自生問題について、非遺伝子組み換えの国産菜種との交配など、農作物への影響をどの
ように分析、認識しているのか。遺伝子組み換え不使用の表示の豆腐から組み換え遺伝
子が検出されている件で、混入率5%までは認められているものの、表示を見る消費者
にとってはゼロ%と思ってしまうのが現実であり、このギャップをどう解決するべきと
考えるかというようなご意見でございます。遺伝子組み換え農作物に関しては、野生動
植物の種の保存への影響は遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の
確保に関する法律というものに基づいて科学的な評価を行い、問題のないもののみが流
通、栽培が認められる仕組みとなっています。輸入港付近で輸入由来と考えられる遺伝
子組み換え菜種については、上述の安全性確認がされているものの、生育が報告されて
いる例はありますが、これらの農家圃場の非遺伝子組み換え作物と交雑する可能性につ
いては、花粉の飛散距離と交雑率との関係に関するこれまでの知見や菜種の流通の実態
から見て極めて低いものと考えていますということでございます。
 2点目の農作物やその加工品は、複雑な製造、流通過程を経ており、遺伝子組み換え
でない食品専用の完璧な製造、流通ラインが整備されない限り一定割合の遺伝子組み換
え食品の混入は物理的にも避けられないところです。このような意図しない混入であっ
ても、5%を超える場合には遺伝子組み換え食品の表示を法律上義務づけているところ
であり、このような前提で遺伝子組み換えでない旨の表示が行われることについて、消
費者等への周知を図っていきたいと考えていますということでございます。実際は分別
流通管理ということで、生産しているところから中間で保管するところ、さらに輸送す
る行程などの管理をきちんとやっているということでございますが、ある程度の意図し
ない混入があるということと、また最近起きている事例としては、生産地の生産してい
るところで既に虫とかによって組み換え遺伝子の花粉等が運ばれることにより、要する
に組み換えでない作物に対して組み換え遺伝子などが入っていってしまうというような
こともあるやに聞いているところでございます。
 一応このような回答になりますけれども、何か追加でお聞きになりたいということご
ざいますでしょうか。ご質問いただいた方いかがでしょうか。特にはよろしいでしょう
か。情報官、何か追加コメントございますか。

〇姫田消費者情報官
 今コーディネーターの方からお話あったように、どうしても特に南北アメリカ、アメ
リカ大陸全体、あるいは中国大陸もですけれども、かなりの地域で、いわゆる組み換え
体栽培されておりまして、それでどうしても虫媒花ですと虫が運ぶと。あるいは風媒花
ですと風が運ぶということで、当然隔離ということでの距離は決められておりますけれ
ども、現実論としては非組み換え体の圃場のところに花粉が飛んでくるということは避
けられない状態です。ですから、いわゆる意図せざる混入というものが現実的にかなり
起こっているということで、これも我が国以上に組み換え体に対して厳しい制限加えて
いるEUでも意図せざる混入というのは一定ラインは認めざるを得ないという考え方を
とっております。
 EUの場合は組み換え体に対する規制、我が国の純粋の安全性だけではなくて、また
別の考え方もあるみたいですけれども、いずれにしても意図せざる混入そのものを否定
してしまうと、いわゆる先ほどゼロはないのだよという話もありましたけれども、ゼロ
での生産というのは、生産あるいは途中の流通、流れの中で非常に難しい状況になって
いるということをご理解いただければと。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 遺伝子組み換え食品関係で何かコメントされたい方いらっしゃいますでしょうか。
 金子さん、どうぞ。

〇金子成子
 質問というか、質問兼意見ということなのですけれども、意図せざる混入についてで
すけれども、たしかEUは0.9%以上であれば遺伝子組み換えというふうに表示すると
いうふうに聞いていた記憶があるのですけれども、このEUと日本の5%の基準の差と
いうのは何でしょうか。輸出国からすれば、基準の緩い日本の方にどんどんやはり輸入
しやすいということになってしまうのではないかというふうに感じます。
 それから、もう一点、輸入港の周辺で菜種が自生している問題についてなのですけれ
ども、先ほどカナダ、アメリカではかなり虫とか風とかによる交雑が進んできていると
いうことですが、日本の中ではそういうことは考えられないのか、それからこれに関し
ては今後国としてどういう調査なりを引き続き行っていくのか、いかないのかというあ
たりも教えていただきたいと思います。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 松本参事官、お願いします。

〇松本参事官
 遺伝子組み換えの食品の安全確保につきましては、15ページを見ていただきたいと思
います。一つは安全性審査の義務化で、平成13年4月1日から安全性未審査の遺伝子組
み換え食品については輸入販売等を禁止しています。現在大豆、トウモロコシ、ジャガ
イモ、菜種、綿、テンサイの6作物について安全性を確認して、輸入販売を許可してい
ます。しかしながら、表示の義務化で、そういうものを使っておりますということを必
ず表示しなければならないことになっております。
 また、こういう安全が確認されていない遺伝子組み換え食品が市場に出回らないよう
輸入のときにモニタリング検査を実施しています。そこにありますように13年の4月1
日から16年の1月31日まで4,272件検査いたしまして、陽性の件数が3件、残りが陰性で
した。
 今後の話ですけれども、遺伝子組み換え食品の安全性に関する種々の研究で、遺伝子
の安定性とか、検知法の開発など研究を進めているところであります。EUと我が国の
差ですが、ちょっとなかなかそこのところは一口にぱっと説明するのは難しいのであり
ますけれども、現実に管理できるところで一応5%という線を引いております。先ほど
のモニタリング検査ですが、検査結果で5%になるものはほとんどなくて、それよりも
っと下のところの値しか出ていないと聞いております。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 姫田情報官からもお願いします。

〇姫田消費者情報官
 EUの0.9、ちょっと私確実に情報持っていませんけれども、まだ0.9という案が出て
いるという段階だと思います。
 それと、こういうこと言うとなかなかあれなのですけれども、EUの場合はどうして
も国として、EUは油糧種子、大豆とかヒマワリとか菜種とか生産しておりまして、こ
れ自給率の話になってしまうのですけれども、EUは国内産を守りたいということがご
ざいますので、安全性の観点ではなくて輸入禁止を安全性にひっかけているという面が
ございます。ですから、入らないようにということでの、入らないというのは遺伝子組
み換え体が入らないようにではなくて、海外から油糧種子が入らないというために規制
をかけているという面があります。ですから、その5%の話は、今の実際の物流とか、
それから海外の状況からするとぎりぎりのものかと思っております。
 それから、あと栽培の話でございますが、一応日本でのそれぞれの組み換え体につい
て申請がございましたら、その中で栽培適性、あるいはえさでの安全性、そして食べ物
での安全性というものを、えさでの安全性と栽培適性については農林水産省が、そして
食べ物安全性は厚生労働省の方で審査していただきまして、具体的にその可能性が安全
だということであれば許可すると。それで、そうでないものについては許可しないとい
うような形になっております。具体的に例えば皆さん方の有名なスターリンクなんかに
ついては、最終的に申請者の方から取り下げは行われているというような状況もござい
ます。あとの菜種についてもそういう遺伝子組み換え体については、実際にほかのもの
と交雑する可能性があるのかないのかということでの栽培適性というものを今評価して
いるという状況でございます。

〇コーディネーター
 金子様、追加のコメントあればお願いします。

〇金子成子
 もう一点質問しているのですが、実際周辺の菜種のところの今後の検査、それがさら
にまた広がるのか広がらないのかというところの検査なり把握というのはなさるのかな
さらないのかというのもお聞きしたいですし、それから確かに輸入食品がふえているの
はわかるのですが、先ほど会場等の意見でもあったと思うのですけれども、やっぱりで
きれば私たちは国内、しかもできれば岩手県、しかももっと近くでとれたものを食べた
いというふうに思っておりますので、ぜひEUと同じように、国内産を守るという視点
がイコール食の安全も守るということにもつながると思いますので、そういう視点で例
えばこういった5%の枠についても、何かお話を聞いているとやはり輸入業者の側に立
って5%決めているのではないかなというふうに、どうしても消費者の側としてはやは
り思わざるを得ないような政策ではないかなというふうに思いますので、これを固定の
ものとは考えずに、やはりEUの基準が決まってしまえばどんどん日本の方にもっとも
っと流れてくるという実態だと思いますので、国は遺伝子組み換え食品は安全だという
立場に立っているのでしょうが、今環境に与える影響、それから体に与える影響につい
てもいろんなデータも出されてきていてはっきりしていない、灰色だというのが私たち
消費者の側とすればそういう立場で遺伝子組み換え食品見ていますし、きょうの資料の
中でも食品に対する不安の中で1番が農薬でしたが、次が輸入食品、そしてその後多い
中では遺伝子組み換え食品も半分ございましたので、やはりこうした国民なり消費者の
不安なりにどうこたえていくかという立場で考えていただきたいと思います。

〇コーディネーター
 姫田情報官、食育の関係の地産地消なども含めてちょっとコメントいただければと思
います。

〇姫田消費者情報官
 まず、例えば菜種というのは、油をとるために輸入しているわけなのです。それか
ら、大豆もほとんど輸入品の大豆はかなりの油をとるために輸入しております。現実に
大豆の自給率は8%なのに何であんなにお豆腐とか納豆で国産大豆使用がいっぱい書い
てあるのということなのですけれども、実際生食というか豆腐や納豆にするための大豆
というのはかなり国産が多くて、油をとるための大豆、いわゆるサラダオイルをとるた
めの大豆、菜種というのはもうほとんど99.9%輸入物だということです。今の現状から
いいますと、ヨーロッパと違いまして我が国でいわゆる油用の菜種とか油用の大豆と
か、こういうものを生産するということになりますと、そういうことまですると、自給
率100%に持ってくると今の農地の5倍ぐらいが必要になってくるというような状況で
ございまして、なかなかそれは難しいということがあります。
 一方で、地産地消というお話ありましたけれども、私ども食育ということを進めてお
りまして、先ほどの岩手県さんの方にもありますし、私どもの方の食の安全・安心のた
めの政策大綱というようなところの最後に食育の推進というのがございます。これいわ
ゆる国民一人一人がみずからの食について考え、判断する能力を養う食育を全国及び地
域段階で進めましたというようなことが書いてありまして、その中でやはりどういうこ
とが食が一番大事なのかということを考える力というものが必要になってくると。きょ
うの健康食品についても、先ほどから田中先生のお話の中でも、かなりもっと強いこと
お言いになりたかったのではないかと思いますが、立場上そこまで言っておられません
けれども、やはりおかしい健康食品を拒否する力というようなものも食育なのだろうと
思っております。すべてそういう面で食を考えていける力というのを養っていくという
こと、そして地元の食べ物をということが必要になってくるのではないかと。
 お手元に食生活指針といってちっちゃな紙が入っております。これは持って帰ってい
ただいて、机の上に積んでいただくものではなくて、それぞれのお財布の中とか定期入
れの中に入れていただいて毎日持って歩いていただきたいと思っておりますが、その中
にこれ文科省と厚労省、当時の厚生省なのですけれども、と農林水産省と平成12年につ
くったものでございますが、その中で食事を楽しみましょうとか、それから先ほどの健
康食品ではなくて、やはり主菜、副菜を基本に食事のバランスをとか、あるいは野菜と
か果物とか牛乳、乳製品、豆類、魚なども組み合わせて食べましょうというようなこと
を書いてございます。その中で、右の方に食文化や地域の産物を生かして、時には新し
い料理もというようなことで、やはりその地域の産物をしっかり使おうというようなこ
と、あるいは自然の恵みを楽しみましょうというようなことを書いてございまして、私
どもも地域の生産物をどんどんと使っていただくということを進めてまいりたいと思っ
ております。決して輸入を推進しているわけではなくて、我々農水省の立場としてどん
どん国産をふやしていきたいわけなのですけれども、なかなか現実にはニーズに合う生
産物ができないというような悩みを日々抱えてやっている次第でございます。

〇コーディネーター
 済みません、あとそれと港の周辺の調査をするしないの部分についてもちょっとコメ
ントを……

〇姫田消費者情報官
 私どものところ実は消費・安全局というところでございまして、食べ物の方のもので
ございますので、ちょっと十分な知識持っておりませんけれども、原則的にはこれ環境
省の仕事になってしまいますので、そちらの方での、遺伝子組み換え体だけではなく
て、港の周辺の海外から入ってきた普通のものも含めての調査を環境省がやるという話
をしておりましたので、2週間に1遍我々は集まっておりますので、伝えておきたいと
思っております。

〇コーディネーター
 たしかカルタヘナ議定書というのを批准するときに、何かそういう影響評価をする手
だてということで、幾つか関係省庁が集まって省令などをつくられているかと思います
けれども。
 金子様、よろしいでしょうか。


 6 意見交換


〇コーディネーター
 それでは、一通り終わりましたので、BSEの時間をちょっと設けたいと思っており
ます。金子様から先ほど意見をいただいているところですが、牛という関係もございま
すので、内山様からも少しコメントをいただきたいと思います。

〇内山氏
 岩手畜産流通センターの品質保証室の内山と申します。
 今BSEについてということでお話がありましたが、実はBSEというふうな部分
で、国が定めたBSE対策を実際に実行しているというふうな部分でのポジショニング
をしているのが、今岩畜の屠場というふうな部分になるのです。確かに私たちの屠場の
中では特定部位、こういったものが識別され、保管されと。そして、焼却に向けての準
備をしているというふうな部分を受け持っております。
 もう一つは、枝肉の検査というのは、岩手県の食肉衛生検査所さんの方で行われてい
るわけですが、この検査が終わるまでは私どもで持っている枝肉、それからあと内臓
類、それからあとと畜するときに出てくる皮、足等含めた残渣類、これらがすべて移動
禁止というふうな部分の中で、それも同じように識別、保管、そしてそういったものが
記録され、行われているというのが現状なのです。今こういった法律に基づいた形での
保管、管理含めてやっているわけですけれども、実はBSEが発生したときに、岩手で
は私どもの屠場だけが牛肉のと畜をしているというふうな部分もありましたので、もし
私どもの会社でこういったBSEの牛が検査の段階で発見されたときにどうしようかと
いうふうな問題がやはり出てきました。このときにやはり一番先に食肉衛生検査所の先
生方、それからあと岩手県の家畜衛生保健所の先生方が私どもと一緒に動いてくれまし
て、このときにお互いにどうしようかと、どういう手順で情報を交換しながら対応して
いこうかというふうなものをお互いに話し合いをしながらBSEが発生したときのマニ
ュアルというものをつくり上げました。
 このマニュアルについては、お互いの仕事を確認しながら、連絡のとり方も含めて網
羅しているわけですが、では本当にこれ現場で動くのと、もし発生したときに現場でこ
のとおりできるのというふうな部分がありましたので、実際先生方のお力をおかりしな
がら、現場での防疫訓練というものをやってみました。そういう中で、確かにお互いに
確認し合った内容というものが現場でできたわけですけれども、この防疫訓練終わった
後の反省会の中で、一つはそれぞれの検査所の先生方と我々実施する、確認をしながら
焼却に向けての確認をする岩畜の人間との識別ができないよと、みんな同じユニホーム
を着てやってしまっているので、そういったところをもうちょっと明確にした方がいい
ねとか、そういうふうな反省を踏まえた中でこのマニュアルというのが策定されてきま
した。今年度も今月の末にもう一度このBSEの防疫訓練をしながら、お互いの作業の
確認をしながら、要は岩畜の屠場からこういったものが市場の方に流出しないための確
認をしましょうということでの防疫訓練を今考えておりますので、そういう裏づけをと
りながらこのBSEに対しての対応はしております。
 あとは部分肉処理から出てくる背根神経節というふうな部分、これも部分肉処理の中
で、要は脊髄の背根神経節のある部分を屠場からとはまた別に入れる箱を、これらの識
別をしながら管理をしているというふうな部分が現状としてありますので、なかなかこ
ういったこまいところの部分を消費者の方々には理解できない部分もあると思うのです
が、実際の現場としてはやはりこういうことで確認管理をしておりますので、この危険
部位、これらが出回るというふうな部分はほとんどないというふうに自負しておりま
す。
 あと先ほどちょっとお話がありましたけれども、検査対象牛が20カ月齢、もしくは21
カ月齢のところで線を引かれるというふうなお話もありました。やはり先ほどの小泉先
生のお話があったように、前提条件とすればやはり危険部位、これは全頭が対象になり
ますよと。検査をしても確認できないというふうな部分のものが年齢制限の中で出てき
ますよというふうな部分になりますが、我々とすればいろいろな消費者の方々の意見を
含め、我々の今の業務の流れを含めれば、やはり全頭検査をしてもらった方が今の管理
上そのまま非常にスムーズにいくし、要は消費者の方々の理解も得られるのかなという
ふうには思います。ただ、行政の方でそういった線を引くというふうになると、もう一
度私たちの今の業務の中での流れ、これを再構築しなければならないのかなと。要は検
査された牛、もしくは検査されない牛というふうな部分の線引きが起きてくるのかなと
いう、そういう不安も非常にありますので、ちょっとこの辺がこれから先の問題なり課
題なのかなというふうに考えます。
 以上です。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 それでは、先ほどの金子様からもそもそも20カ月未満の検査は必要ないというような
ことで結果が示されておりますが、世界的には30カ月でいいといったところを日本は全
頭検査してきたことによって21、23が見つかったというようなことからすると、本当に
やめることがよいのかどうかという点につきまして、それから今の内山様の、実際20と
かで切った、どこかで線を引いた場合に、検査をする牛、しない牛、線引きなども出て
くるので、要するに業務の作業の流れを再構築というような話がありましたけれども、
松本参事官、姫田情報官から何かコメントございませんでしょうか。

〇松本参事官
 この問題につきましては、きょうの岩手日報の第1面に載っておりましたし、朝日、
読売等にも書いてあるように、昨日食品安全委員会のプリオン専門調査会でBSEの国
内対策についての科学的な評価、検証の結果が大筋取りまとめられたというところであ
ります。その中で、詳しいことは小泉委員からお話があるかもしれませんけれども、平
成13年10月18日からこれまで全頭検査をやってきて350万頭ほど検査しております。そ
のうち見つかったのが9頭です。そのうち21月齢と23月齢が、まだ発症はしていません
けれども、プリオンの蓄積が見られた。そのプリオンの量も、他の感染牛と比べるとプ
リオンの量は、500分の1から1,000分の1と微量であった。350万頭やってもとにかく
見つかったのは21カ月齢以上だと言われた訳です。手続としては、その報告書を踏まえ
て、食品安全委員会でまたご検討いただくことになっておりますので、それが最終的な
報告書になろうかと思います。現段階としては最終的な報告書がまだ出されていない段
階でございますので、その報告書が出てからどうするかということを検討することにな
るだろうと考えています。

〇姫田消費者情報官
 私どもは、基本的に今松本参事官からお話ししたとおりでございまして、当然報告書
の中に、例えばえさの交差汚染対策が十分できていなかったのではないかなというよう
な話もございます。
 それで、私ども一番大事なのはやっぱりえさの対策をして、我が国でBSEにかかる
牛そのものがずっと出ないということが一番大事なことだろうと。かなりいっぱい話題
になっておりますけれども、全頭検査なりSRMの除去というのは、あくまでもとりあ
えず対策でございまして、いわゆる国民の皆さん方の口に入らないようにとりあえずす
るという対策です。やはり一番大事なのは、えさの輪をきちっと断ち切って、それで国
内にBSEの牛が存在しなくなるということが一番大事なことだろうと思っておりま
す。どうも今回の報告書の中で、余りきのうも論点にはなっておりませんでしたから、
そのままいわゆるえさの対策については出てくるのではないかなと思っておりますが、
当然そういうことを受けてリスク管理をもう一度見直すということになるかと思ってお
ります。もちろんそういうことについてのリスク管理を見直すということについては、
きょうこの場ということではなくて、当然皆さん方のご意見を聞きながらリスク管理や
っているということが、最初の方でも金子さんの方から、科学的でなくても云々という
ようなお話があったと思うのですけれども、いわゆるリスク管理官庁というのは当然…
…ちょっと最初の方で小泉先生の政策的というのがあって、安全委員会が科学的で我々
が政策的ということがありましたが、我々も当然科学的にやっておるわけなのですけれ
ども、その上にいわゆる政策的なものが、リスク管理というのが加味されてくると思っ
ておりますので、そういう皆さん方のご意見を聞きながら十分進めてまいりたいと思っ
ております。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 小泉委員からも補足をお願いいたします。

〇小泉委員
 きのうはプリオン専門調査会といいまして、下部のそういったところで検討いたしd
まして、昨日の夜も少し修正を加えたりしておりました。最終的には食品安全委員会で
結論を出すということになっております。
 私どものスタンスというのでしょうか、立場はヒトへの健康影響評価なのです。それ
で、BSEからヒトにどれぐらい健康影響があるのかというのが一番大切な重要なポイ
ントです。リスクが0.1人とか、最大非常に状況の悪い全く規制のない状況であっても
0.9人以下であるということです。その後厚生労働省、農林水産省でいろんな規制が非
常に施されたわけですから、そういった中で管理ということが非常に重要になってくる
と思います。
 私ども実はもう新聞のプレスでは、20カ月なんていうことが非常に検査を除外すると
いう方向で書かれておりますが、安全委員会は決してそういうことを言っているわけで
はないのです。BSEの感染が認められたのが21カ月以上であったということで、しか
も21、23カ月は、いわゆるOIEとか、そういうところではBSEとして認めていない
というようなことも事実ありまして、また感染性が500分の1、先ほど言われました
1,000分の1、そういった感染性のリスクも含めて、検査で見つかったのは21カ月以上
であったと。あと、では20カ月で切るのか、あるいは全頭やるのか、これを厚生労働省
が検討されることだと思います。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 会場の皆様からももしBSEに関する意見があれば受けたいと思いますが、いかがで
しょうか。
 あちらの方、お願いします。済みません、ちょっと時間の関係もありますので、2分
ぐらいでお願いいたします。

〇参加者4
 BSEに関して二つだけ疑問、ちょっと私が納得していない部分があるので教えてほ
しいのですが、一つは国内でBSEが発生した際に、国内の在庫牛肉を一掃といいます
か、国が買い上げてやったわけですが、ところがアメリカで1頭目発生して、要するに
感染国の牛肉が国内に在庫したはずなのですが、なぜ国でそれを押さえなかったのかと
いう、そういう議論が多分あったかと思うのですが、どういった経緯で米国産の牛肉に
ついて在庫がそのまま流通……今も多分在庫流通しているわけなのですが。
 あともう一つなのですが、BSE感染した国からの牛肉を、輸入については最終発生
から8年間輸入しないというようなこと、私ちょっとそういうふうに思っておったので
すが、ですから今回20カ月だとかという話になっても、8年たたないと輸入できないの
ではないかというふうに私勝手に思い込みしているのですが、その点もしコメントいた
だければと思うのですが。

〇コーディネーター
 まず、1点目の流通の件について松本参事官からコメントお願いしたいと思います。

〇松本参事官
 昨年の暮れにアメリカでBSEが発生したときに、既にアメリカから牛肉が輸入され
ておったわけですけれども、それをどうしたかということです。あの時点でBSEプリ
オンが蓄積するとされる部分については当然回収、廃棄を命令しております。そもそも
肉そのもの自体はプリオンの蓄積なんかないわけでございます。特定危険部位由来の食
品については調査をし、回収をさせて廃棄させております。そのデータについてはホー
ムページ等で公表しております。それ以外の部分枝肉については、流通して皆様方の口
に入っております。

〇コーディネーター
 ありがとうございます。
 情報官からもその回収の経緯と、あと8年の話もちょっとあわせていただければと思
うのですが。

〇姫田消費者情報官
 まず、大分誤解があるので、誤解を解いておかないといけないのですけれども、厚生
労働省さんは日本でBSEが発生したときも牛肉の回収は言っておられないわけです。
私どもの方が10月18日以前の牛肉について、両方が検査済みと検査前のやつがあると、
検査していないものについては全然売れないではないかということで、まず最初に市場
保管をしようと。1年ぐらいたってから売り出そうというような考え方で、保管事業と
いうのをつくりました。ところが、ずっと保管をしている間に、どんどん、どんどん牛
肉価格が下がって、それは一つはそこに数万頭の牛肉が残っているせいで下がるのだと
いうような議論も出ましたので、このままいくと放出してもだれも買ってくれないので
はないかなということで、最終的には処分しようということで焼却したということで、
これはあくまでも農林水産省が価格面からやった事業でございまして、別に安全性の面
からやったわけではないわけです。どうも誤解は、最初から食肉業者の方々が買い上げ
ろ、買い上げろと言われたので買い上げ事業と言われているのですけれども、我々は最
初調整保管事業ということで、豚肉の価格が暴落したときに事業団が、全農が買い取っ
てしばらくしてから放出するのと同じ考え方でその事業であったわけなのです。最終的
には、どうしようもないから焼却したというのが現状です。ですから、何か今の一部の
いわゆる訴訟事件で、最初預けるつもりだったから、何でもいいと思って預けたとかと
いうような議論が出てくるのもそのせいだと思っております。

〇コーディネーター
 あと最終発生から8年の件というのはわかりますか。

〇姫田消費者情報官
 最終発生から8年というのは……。

〇コーディネーター
 もし私の記憶違いでなければ、恐らく清浄国として認められるかどうかが最終発生か
ら8年ではなかったかと……

〇姫田消費者情報官
 清浄国として考えられるということについては、最終発生から8年ということでござ
いますが、今OIE、国際獣疫機構で、国のステータスを清浄国、暫定清浄国、最小リ
スク国とか、リスクがある国とかというふうに分けているのですけれども、そのOIE
の考え方自体が非常におかしいのではないかという話がEUから出ておりまして、今、
来年の6月のまたOIEの総会に向けて検討を始めているという状況でございます。で
すから、従来から、当時言っていた清浄国とかという考え方自体は、とりあえずオース
トラリアとかニュージーランド、オーストラリアなんかも非常に清浄な国が暫定清浄国
という位置づけをされておりますけれども、日本とかアメリカとかは特にどのレベルの
国というようなことには国際的には位置づけられていません。アメリカ自身は、自分た
ちは暫定清浄国だと思っているということはありますけれども、決して国際的に認めら
れているわけではございません。

〇コーディネーター
 恐らく輸入できる、できないの8年ということではなくて、清浄国としての評価がで
きるかどうかということの8年だと……
 ○参加者4 そのとおりなのですけれども、たしかヨーロッパ諸国で何個か発生した
ときに、生じたときに、輸入絶ったように記憶しているのです。発生した途端に、日本
が。そうすれば清浄国にならないと輸入が再開されないのではないかというふうに私は
思い込んでいるものですから、そうした場合にアメリカについても同じ措置が講じられ
るのではないかというような気がしたものですからどうなのかなと。憶測でしゃべって
いますので。

〇コーディネーター
 情報官、どうぞ。

〇姫田消費者情報官
 生きた牛についていいますと、その国との2国間で検疫条件というの交換するわけな
のです。例えば今の鳥インフルエンザでいいますと、タイと検疫条件交換していまし
て、タイは鳥インフルエンザ起こっているので、生きた鳥を輸入できないのですけれど
も、ただ加熱したものについては入れられるという2国間交渉です。ですから、少なく
とも家畜の病気という観点から申し上げますと、すべてのことについて2国間交渉でや
っていくということになります。ただ、同じレベルの国であれば、2国間交渉でやる場
合、ある国で結んだやつを違う国ではまた違う条件で結ぶということにならないと思う
のです。ただ、相手の国のいわゆるステータス、清浄かどうかとか国内の状況につい
て、当然お互いに調べ合うということは必要になってくると思うのです。

〇コーディネーター
 EUからの輸入が禁止された当時はまだ日本も未発生国だったと思うのですけれど
も、その後日本でも発生して、またカナダ、米国と発生していますが、当然日本で発生
した後、日本はこの全頭検査というようなものとSRM除去、それからフィードバンで
すね、飼料に肉骨粉をまぜないというか、食べさせないというようなこともしていった
中で、多分カナダとかで発生したという点では、恐らくリスク国としては日本も発生
国、カナダも発生国だと思うのですが、今回アメリカともその議論になっているよう
に、では国内と同等の措置が担保できるのかどうかという点が多分最大の問題なのでは
ないかなというふうに思います。よろしいでしょうか。
 済みません、ちょっとお時間が超過してしまいましたが、BSE以外でも結構ですの
で、何かどうしても私はこういうことを聞いておきたいという方いらっしゃいましたら
……前の方。

〇参加者5
 BSEが発生したときに食の安全委員会をつくってほしいということで、非常に私た
ちも運動したのですが、そのときに議論になったのが、縦割り行政をどう廃するかとい
う議論が消費者側ではすごくあったのです。でも、きょうのお話を聞いていると、私た
ちの不安が何かすごく的中しているなという思いで、私たちの政策はこっちの方です、
私たちのはこっちの方ですとかといろいろあったのですけれども、小泉先生の方からヨ
ーロッパの食品安全庁のお話がありましたけれども、そこはすごく独立性が高くて、そ
れで縦割りを廃して、やっぱり一人一人の人間に対して食の安全をどう保障していくか
という視点で政策が出されているように思います。ところが、日本の場合には、農水省
があって厚労省があってということで、うちの方はここまでですよとか、それから食品
安全委員会はリスク評価で、今わかっている範囲の科学的評価ですよということがあっ
て、私の体はもう厚労省とか農水省とか分けられないものですから、私が本当に安全な
ものを食べたいといったときに、では責任を持ってくれるところはどこなのというふう
な疑問をすごく持ちましたので、今後のあり方として食品安全委員会の小泉先生にもそ
の辺のところ縦割りを廃して、そしてむだを廃してというのですか、経費的にも今大変
ですから、そういう中でどういうふうにやっていくかというあたりも今後の議論として
やっていただきたいと思います。
 それから、BSEの部分では、全国消団連の事務局長がアメリカに招待されて行っ
て、アメリカで一番大きい食肉処理工場を見学したそうなのですけれども、そのときに
は月齢で分けるということがいかに困難かということを見てきたそうです。何か歯を見
て、瞬間に何カ月齢とかというふうに判断して、ぱっぱといくようなのですけれども、
それとあとは危険部位の除去についても、本当に日本全体の1日分をその工場では1時
間でやってしまうような状況の中で、非常に危うい状況が見てとれたというふうな、正
式なこれはコメントではないのですけれども、そういう報告もありました。そういう中
で、政治的な決着ではなくて、本当に国民が安心できるようなきちんとした政策をお願
いしたいなというふうに思います。
 以上です。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 まず、1点目の方は、恐らく行政機関自体は幾つかに分かれて、法律も分かれていま
すので、そこは確かに分担、分担はあるのだと思いますけれども、その縦割りというの
はその分担の壁と壁の間にすき間を生じたりとか、そういうことが一番問題だと思いま
す。そういうすき間がないような調整機能というのを今回安全委員会がリスク管理機関
への勧告というようなことで、恐らくそういう形で埋められているのだと思いますが、
小泉委員からまず今後の議論としてということでお答えいただいて、あと最後のBSE
のところについては情報官と、それから松本参事官にお願いしたいと思います。
 小泉先生、どうぞ。

〇小泉委員
 その前に、我々が心配していたことが縦割り行政の中で非常に分断されていると今お
っしゃいましたけれども、実はその逆で、最初はくっついていて、それが非常に大きな
問題だったわけです。BSE問題が発生したとき、農水省がすべてそれを仕切っていま
して、安全性についてもきっちり科学的に評価できなかったと。科学者の意見がそれほ
ど重要視して取り上げられなかったのです。いろんな問題があったことによって、科学
的評価は独立した機関できっちりとやっていただこうと。事業者とか消費者という意見
ではなくて、科学的な知見に基づいて評価するということで、むしろ分離したわけで
す。しかし、いろんな問題はすべて絡まっています。ですから、管理のことに我々が口
出すと、そこには政策的な、先ほど言われたように政策的な、安心の問題をもっと重視
して全頭やるのかどうかとか、そういった政策的なことが入ってきますが、私どもは政
策というよりは、むしろ安全性の面から評価するということで、科学的に、ということ
で独立した機関として成り立ったわけです。今言いました全頭検査の問題を科学的に見
ますと、20カ月以下のものは幾ら検査しても今のラピッドテストでは検出されないだろ
うということが今までの知見でわかってきたので、そういう事実がありますよというこ
とを昨日のプリオン調査委員会で説明したということでございます。

〇コーディネーター
 参事官、情報官、お願いいたします。

〇姫田消費者情報官
 3者の関係ということで、今小泉委員からお話あったとおりで、ただリスク管理機関
ですので、農水省と厚労省は、これべったりと仲よくやりながら一緒にやっていこうと
いうことで、きょうもこういうふうに、これ安全委員会も入っていますが、安全委員
会、厚労省、農水省というような、そして岩手県さんというような形でリスクコミュニ
ケーションをやっています。そして、いろんな面で一緒にやろうではないかということ
で、私と参事官と安全委員会の担当の方とは2週間に1遍確実にお互いの情報交換し合
い、実際はもっと会っているのですけれども、というようなことでやっているというふ
うなこと、あるいは別のレベルでも、局長のレベルでもお互いに会合をやろうというよ
うなことで、コンスタントにお互いの情報交換をやっているということです。ただ、実
際に例えば検疫をやるのは、水際をやっていくのは厚労省で、国内生産をやっていくの
は私どもですから、それぞれがそれはそれぞれの部署でやっていくというのは当然のこ
とだと思っております。
 それで、あと今後どうするのかというお話ですけれども、大臣が何度も申し上げてい
るように、二つのワーディングを覚えていただければいいかと思います。内外不差別だ
ということ、国内と国外を差別することはないということが一つあります。ですから、
国内を余計に厳しくするとか、国内だけを緩くするとかということはあり得ないよとい
うことが一つあります。そして、もう一つは、消費者の安全をどう守っていくかと、き
ちっと守っていくのだという、この2点を原則にこれからの今後のリスク管理政策を進
めていくのだということが大臣も何度も何度も何度も国会でもいろんな場でも言ってお
りますので、それは動くことはあり得ないと考えていただきたいと思っております。
 それから、もう一つは、施策の透明性ということで、いろんなところで最後がちゃが
ちゃと何かどこかで決まったではないかというようなことがないようにしたいというこ
ともお約束していきたいと思っております。

〇コーディネーター
 よろしいでしょうか。

〇松本参事官
 縦割りの話につきましては、それぞれ役割はありますけれども、そこのすき間がない
ように取り組んでいます。以前であればこうやって両省の役人、担当者が来て、食の安
全についてこういうお話をすることは到底考えられなかった。それを昨年の7月からで
すけれども、こういう形で、法律で定められたということもありますけれども、仕切り
をなくす努力をしています。表示の問題にしましても、両省それぞれ表示の部分、目的
が違っておりますけれども、同じことあらわすのに表現が違っていた部分を統一するこ
ともやってきましたし、残留農薬につきましては、人の残留農薬の基準が決まってこな
いと農水省の農薬の基準が決まらないという形になって、すき間がないようにやってお
ります。
 BSE対策ですけれども、基本的には姫田情報官がおっしゃったとおりでありまし
て、国としてはまず今食品安全委員会にお願いしているのは、平成13年10月からとり始
めた我が国のBSE対策はどうかということをきちっと評価していただくというのがま
ず大前提です。評価されて初めて我が国は今後どうしていくかということが、方向性が
明確になる。施策の見直し等があれば、透明性を確保するために、政策の節目節目のと
ころでこのようなリスクコミュニケーションを開いて、多くの国民の方々、関係者の方
々の意見を聞きながら進めていくわけです。国内対策がきちっと決まった後で、日本と
同等の安全性を当然米国へ求めていくことになりますので、我が国の対策がまずきちっ
としないとどうしようもない。ですから、まずそれが先だということであります。

〇コーディネーター
 小泉先生からも補足をお願いします。

〇小泉委員
 済みません、追加で。新聞によりますと我々が輸入との関係でやっているような誤解
を受けるところが多々あるわけなのです。実は、我々がやっているのは、日本の国のB
SEの安全性を評価しているわけです。ですから、日本のBSEの発生によって人の健
康影響はどうなるのかということを評価して厚生労働省にお示ししました。実はこれ諮
問を受けて我々やったわけではないのです。みずから食品安全委員会がもう大分前から
一生懸命BSEの健康影響評価をやってきたわけです。そういったことで、報告書を出
せばそれを参考にしながら、恐らく厚生労働省あるいは農林水産省がどういう政策をさ
れるかということになると思います。ですから、決して輸入とか輸入再開とか、そうい
うことではなくて、アメリカは恐らくこういった状況で考えないと自分たちは輸出でき
ないなと思うかもしれませんし、その辺我々がやっているのは日本のBSEの問題であ
るということを理解していただきたいと思います。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 最後に、もう一人だけ……真ん中の列の後ろの方。

〇参加者6
 時間がございませんので、単純明快に小泉委員にお伺いします。
 それでは、20カ月以下は安全かどうかということについて明言をしていただきたいと
思います。

〇コーディネーター
 小泉委員、お願いします。

〇小泉委員
 それはわかりません。今まで何度も申し上げていますが、ゼロリスクはありませんの
で、今後分析感度が物すごく上がる、あるいは生体牛で検査ができる、そういった感度
が見つかればごくごく微量なプリオンがある可能性もあります。ですから、ゼロではな
いということは食中毒も含めて同じ意味でございます。

〇コーディネーター
 多分趣旨としては、全頭SRMの除去はしているので、若い牛については、恐らくそ
の検査をしても検出できないということからすると、検査をしなくてもリスクはそれほ
ど変わらないということなのでしょうか。

〇小泉委員
 リスクの面からいいますと、先ほど99.7%はSRMをとることによって、一応完全に
とれたらですよ、保証されるということです。では、あとの0.3%を排除するためにス
クリーニングをやっているということですが、そのスクリーニングも20カ月未満であれ
ば今まで350万頭やって見つからなかったという事実でございます。

〇コーディネーター
 ご質問いただいた方よろしいでしょうか。
 では、もう一度コメントを。何か追加のコメントあればいただければと思いますけれ
ども。

〇参加者6
 確かにそういう点はあるかと思いますけれども、私たちがこの間全頭検査ということ
について、やはり全頭検査をすることによって安心感もあるわけです。もちろん科学的
という面もございますけれども、科学的という面だけで処理できないものというのはた
くさんあるのではないかと思います。そうした視点でどう納得すればいいのかというこ
とについてもやっぱりあるのだということを受けとめてほしいということでございま
す。

〇小泉委員
 よくわかります。その安心という面で厚生労働省ですか、全頭検査に踏み切ったわけ
ですから、ただ350万頭やってきた中で、一度科学的に見直しをして、日本のBSEの
健康影響がどうなのかということを今見直して、結果がそれだけやって結局20カ月未満
では今の検査法では見つからないという事実がわかったということです。ですけれど
も、そのむだも皆様方が要求されるのであれば、厚生労働省なりなんなり考えられる対
策になるかもしれません。

〇コーディネーター
 姫田情報官、お願いします。

〇姫田消費者情報官
 余り私が言う立場にないのですけれども、安全委員会さんの報告書の中で幾つかのこ
とが書いてあるわけなのです、全頭検査のことだけ書いてある報告書ではなくてです
ね。一つは、先ほど私が申し上げたようにフィードバン、えさの管理をきちっとしまし
ょうよと。実際に交差汚染、いわゆるまじって汚染された可能性もあるので、それをも
っときちっとやりましょうというのが一つあります。
 それから、もう一つは、SRMの除去、特定危険部位の除去、これもきょう岩畜さん
来られているので少しフォローしていただいたらいいかと思いますが、いわゆるスタン
ニングといって頭ぼんと打ちます。そして、その後ピッシングといって、いわゆる脊髄
をつぶすわけなのですけれども、そのときにSRMが血液の中にまじったりすることが
ないのかと、そういうことはきるだけやめようよと、そういうことを要するにきちっ
と、それともう一つはSRMが今の状況で背中を割る前にきれいにとれているかと、そ
れは必ずしも十分はとれていないと。だから、そういうことについてとり方をもっとし
っかりととっていかないといけないのではないかということ、そして検査についていう
と、20カ月齢以上のところでは見つかりました、21カ月と23カ月、これ世界的にも珍し
いあれですけれども、21と23について見つかったということで、世界的に言われている
30カ月ではなくて、21カ月齢ぐらいまでは見つかる可能性があるのだよということを言
っていただいていると。ただ、20カ月齢よりも下のものについては、検査しても検査し
なくても今の状況では、先ほど小泉さんがおっしゃっているように、見つからないとい
うことであればリスクの程度は変わらないと。リスクが全くないということではない、
リスクの程度は検査しようがしまいが変わらないよということを言っておられるという
ことだと思います。

〇コーディネーター
 どうぞ。

〇内山氏
 まず、一番最初のと畜をするとき銃撃で失神させるわけです。その後ピッシングとい
うことになります。これは、神経をつぶすことによって末端の、要は手足の動きをとめ
てしまうというふうな部分があります。これは、剥皮作業の安全性を確保するという意
味では、今まで必要ということで行われてきました。実際に今はどうかというふうな部
分ですと、今も実際私たちは行っております。これは作業の安全性だけではなく、ピッ
シングしたものの洗浄、消毒というふうな部分をきちっとやれば問題ないのかなという
ふうな部分、それからあと脊髄の処理については脊髄吸引ということで、脊髄吸引装置
を使いながら脊髄の除去を背割り前にやっているわけですが、これも100%というふう
な数字でのお答えはできないと思います。これについても、私たちは1頭1頭記録をと
っております。どの部分が一番除去しにくいのかというふうな部分を必ず明確にして記
録をとっておりまして、これについても機械の能力の向上を含め、あとは作業性、こう
いったものを十分に行えるようにということでの記録をとって、それで後の反省という
ふうな部分での活用をさせていただいておりますので、脊髄が、では牛にくっついてい
ってしまうのではないのというふうな部分については、脊髄吸引装置を使う以前の処理
の仕方をやっておりますので、そういう意味では当初やっていたよりもリスクは非常に
少ないのかなというふうに考えております。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 金子様、どうぞ。

〇金子成子
 済みません、先ほど私たちは国内での、今岩畜さんもおっしゃったように見学にも行
きましたし、国内での処理の方法については何も今時点で検査も含めて疑問も持ってお
りませんし、きちんと行われているというふうに思っているのですけれども、先ほどお
っしゃったように20カ月齢の検査なり、危険部位の除去のところが日本で決まれば外国
のところも同じで規制しないというのが次の段階でやっぱりあると思うから、今の全頭
検査を変えるということが食品安全委員会は国内でのと言いましたが、先ほど国の方
は、そこは日本で決まればアメリカだけ別と、外国は別というふうにはしませんという
ことなので、そこがさっき言ったように国内ではきちんと頭数もそのぐらいですのでや
られているのですけれども、さっき私も何かの新聞で、アメリカのそういう食肉処理、
大きな工場で働いている労働者の方がとても移民の人たちが多くて、1カ月単位で人が
どんどんかわると。除去しているけれども、肉に飛び散っているよと。そういったよう
なアメリカの処理の実態の中で、輸入再開がやっぱり用意されているのではないかとい
うことがあるから国内での基準を下げることにもこだわっているということですので、
回答はいただかなくて結構ですが、きょうの中でやはり消費者の側としては今のもので
やれるのだったら今のままで続けてほしいし、処理している方にとってもむしろ月齢を
分けずにやっている今の方法で問題がないというのであれば、それを続けていただきた
いという要望をお願いして、リスク評価とリスク管理とまた別でしょうから、そういっ
たことを勘案してリスク管理を考えていただきたいと思います。

〇コーディネーター
 ありがとうございました。
 一応意見として伺うということでよろしいでしょうか。
 済みません、コーディネーターの不手際で時間が大変延びてしまいまして、申しわけ
ありませんでした。意見交換会の方を終了させていただきたいと思います。


7 閉会


〇司会
 最後に、1点だけお願いがございます。お手元にアンケートをお入れしていると思い
ます。意見交換会の今後どういうふうに進めていくかについて、見直しの材料ともなる
貴重な資料でございますので、お時間超過して大変お忙しいところ恐縮でございます
が、ぜひアンケートのご記入お願いいたします。
 以上をもちまして、食に関するリスクコミュニケーションの方を終了させていただき
たいと思います。
 本日はご参集いただきましてまことにありがとうございました。

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