差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
両方とも前のリビジョン前のリビジョン次のリビジョン | 前のリビジョン最新のリビジョン両方とも次のリビジョン | ||
public:砂川事件 [2014/07/06 12:40] – [最高裁判決の背景] 管理人 | public:砂川事件 [2014/07/06 12:52] – [関連項目] 管理人 | ||
---|---|---|---|
行 115: | 行 115: | ||
また田中自身が、マッカーサー大使と面会した際に「伊達判決は全くの誤り」と一審判決破棄・差し戻しを示唆していたこと | また田中自身が、マッカーサー大使と面会した際に「伊達判決は全くの誤り」と一審判決破棄・差し戻しを示唆していたこと | ||
- | <ref>[http:// | + | * 2014/07/06 「最高裁長官「一審は誤り」 砂川事件、米大使に破棄を示唆 - 47NEWS(よんななニュース)」 ([[http:// |
+ | <WRAP center round box 80%> | ||
+ | **最高裁長官「一審は誤り」 砂川事件、米大使に破棄を示唆** | ||
- | 上告審日程やこの結論方針をアメリカ側に漏らしていたこと | + | 米軍旧立川基地の拡張計画をめぐり、1957年に起きた「砂川事件」で、米軍駐留を違憲とした東京地裁判決(伊達判決)を破棄した最高裁の田中耕太郎長官(当時、以下同)がマッカーサー駐日米大使と会談し「伊達判決は全くの誤りだ」などと判決の見通しを示唆していたことが17日、分かった。 |
- | <ref> | + | 外交問題に詳しいフリージャーナリスト末浪靖司氏が2011年9月、米公文書館で、機密指定を解除された公文書に会談内容が書かれているのを見つけた。末浪氏によると、内容に踏み込んだ文書が見つかったのは初めてとみられる。 |
+ | 【共同通信】 | ||
+ | </WRAP> | ||
+ | 上告審日程やこの結論方針をアメリカ側に漏らしていたこと(([[http:// | ||
- | が明らかになった。ジャーナリストの末浪靖司がアメリカ国立公文書記録管理局で公文書分析をして得た結論によれば、この田中判決はジョン・B・ハワード国務長官特別補佐官による“日本国以外によって維持され使用される軍事基地の存在は、日本国憲法第9条の範囲内であって、日本の軍隊または「戦力」の保持にはあたらない”という理論により導き出されたものだという | + | 当該文書によれば、田中は駐日首席公使ウィリアム・レンハートに対し、「結審後の評議は、実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶるもとになる少数意見を回避するやり方で運ばれることを願っている」と話したとされ、最高裁大法廷が早期に全員一致で米軍基地の存在を「合憲」とする判決が出ることを望んでいたアメリカ側の意向に沿う発言をした(([[http:// |
- | <ref>[http:// | + | 田中は砂川事件上告審判決において、「かりに…それ(駐留)が違憲であるとしても、とにかく駐留という事実が現に存在する以上は、その事実を尊重し、これに対し適当な保護の途を講ずることは、立法政策上十分是認できる」、あるいは「既定事実を尊重し法的安定性を保つのが法の建前である」との補足意見を述べている(([[http:// |
- | 当該文書によれば、田中は駐日首席公使ウィリアム・レンハートに対し、「結審後の評議は、実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶるもとになる少数意見を回避するやり方で運ばれることを願っている」と話したとされ、最高裁大法廷が早期に全員一致で米軍基地の存在を「合憲」とする判決が出ることを望んでいたアメリカ側の意向に沿う発言をした | + | 古川純専修大学名誉教授は、田中の上記補足意見に対して、「このような現実政治追随的見解は論外」((『憲法判例百選II[第5版]』210事件 有斐閣)) |
- | < | + | と断じており、また、憲法学者で早稲田大学教授の水島朝穂は、判決が既定の方針だったことや日程が漏らされていたことに「司法権の独立を揺るがす日本国憲法第76条違反もの。ここまで対米追従がされていたかと唖然とする」とコメントしている(([[http:// |
- | + | ||
- | 田中は砂川事件上告審判決において、「かりに…それ(駐留)が違憲であるとしても、とにかく駐留という事実が現に存在する以上は、その事実を尊重し、これに対し適当な保護の途を講ずることは、立法政策上十分是認できる」、あるいは「既定事実を尊重し法的安定性を保つのが法の建前である」との補足意見を述べている | + | |
- | + | ||
- | < | + | |
- | + | ||
- | 古川純専修大学名誉教授は、田中の上記補足意見に対して、「このような現実政治追随的見解は論外」 | + | |
- | + | ||
- | < | + | |
- | + | ||
- | と断じており、また、憲法学者で早稲田大学教授の水島朝穂は、判決が既定の方針だったことや日程が漏らされていたことに「司法権の独立を揺るがす | + | |
- | + | ||
- | < | + | |
- | + | ||
- | もの。ここまで対米追従がされていたかと唖然とする」とコメントしている | + | |
- | + | ||
- | <ref>[http:// | + | |
=====再審請求===== | =====再審請求===== | ||
- | [[2014年]][[6月17日]]、当時の被告4人が、有罪判決は誤りであり破棄して[[免訴]]とするよう[[再審]]請求を行なった。今次の請求について「[[第2次安倍内閣]]は[[集団的自衛権]]の合憲解釈を、田中判決・岸判決を根拠にしようとしているため。抗議の意味を込めて」と説明している<ref>[http:// | + | 2014年6月17日、当時の被告4人が、有罪判決は誤りであり破棄して免訴とするよう再審請求を行なった。今次の請求について「第2次安倍内閣は集団的自衛権の合憲解釈を、田中判決・岸判決を根拠にしようとしているため。抗議の意味を込めて」と説明している(([[http:// |
- | ===== 脚注 ===== | ||
- | {{Reflist}} | ||
===== 関連項目 ===== | ===== 関連項目 ===== | ||
- | * [[親米]] - [[対米従属]] | + | |
- | * [[日本国憲法第9条]] | + | * [[日本国憲法第9条]] |
- | * [[日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約]]/[[日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約]] - [[在日米軍]] | + | * [[日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約]]/[[日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約]] - [[在日米軍]] |
- | * [[統治行為論]] | + | * [[統治行為論]] |
- | * [[憲法訴訟]] - [[違憲審査制]] - [[違憲判決]] | + | * [[憲法訴訟]] - [[違憲審査制]] - [[違憲判決]] |
- | * [[内灘事件]] | + | * [[内灘事件]] |
===== 外部リンク ===== | ===== 外部リンク ===== |