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2014/05/10
- 元双葉町長の井戸川さんは、反論(「なぜあの大臣が私の体についてうんぬんできるのか」)を見る限り、自分の発言が放射性物質の播布地域全体について「放射性物質が原因で鼻血が多発している」と言っているという認識が無い可能性がある。ここに到ってそういった認識が未だ無い「痛い人」なのであればスルーされるのだろう。確信犯として、地域のためになると考えて発言しているのであれば、今後も批判の応酬になるのだろうが、それが社会としては健全だとも思う。
- 個人的に意外だったのは笹山登生氏の反応。ReTweetばかりでご自身の見解は出されていないので、あくまで推定だが、笹山氏は低線量被曝と鼻血の因果関係があると考えているようである。
2014/05/14
- 茂木健一郎氏は表現者叩き、の側面を重く見ているようである。ご自身が叩かれる経験を経てきているからなのだろうかと思い、今までの辛酸については同情も感じる。しかし、現況を「一表現者が、私見を述べたに過ぎぬ作品を、どうしてそこまで騒ぎ立てるのか、私には理解できない。」状態であると認識している点については茂木健一郎氏に解釈の歪みがあるように思える。
- 今回の件は、以下の点で単純な構図である。「愚か者たちによる粗暴な抑圧の方向に行っている」と見立てる方が無理筋のように思う。
- 一表現者である雁屋哲氏の影響力が大きい、私見を述べた媒体の影響力が大きい。→よって、反響も大きい。
- 因果関係の無いものに因果関係があるように表現している。→よって、誤った表現が批判されている。批判は自由な表現のひとつでしょう。
- その表現により損害を受ける人達が相当数いる。→よって、他社の損害を回避する表現が工夫ができなかったのかが批判されている。
尚、現時点(2014/05/10)での私の見解は以下のとおり。
美味しんぼの放射線に関する記述について
- Bloggerに掲載しています。(Link)
小学館のスピリッツ連載の漫画「美味しんぼ」で放射線が原因で鼻血が出る、という記載があった。この放射線は、福島第一原発事故が原因で放出された放射性物質からの放出されているものを指している表現となっている。
これに対し、福島県の双葉町が抗議をしている。
- 2014/05/10 「美味しんぼの“鼻血” 双葉町が抗議 NHKニュース」(リンク)
小学館の雑誌に連載されている漫画「美味しんぼ」(おいしんぼ)の中に、東京電力福島第一原子力発電所を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面があり、地元の福島県双葉町が「風評被害を生じさせている」として、小学館に対して抗議文を送りました。
また、石原伸晃環境相が批判的な指摘をしている。
- 2014/05/10 「環境相「鼻血と事故、因果関係ない」 美味しんぼ表現で:朝日新聞デジタル」 (リンク)
週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)に連載中の漫画「美味しんぼ」で、主人公の新聞記者が東京電力福島第一原発の取材後に原因不明の鼻血が出た様子が描かれたことに関し、石原伸晃環境相は9日の記者会見で、「風評被害を呼ぶことがあれば、あってはならないこと」と述べた。 また「専門家によって、今回の事故と鼻血に因果関係がないと既に評価されており、描写が何を意図しているのか全く理解できない」と語った。
私は、低線量放射線により、所謂放射線障害は出ない、という現時点での科学的知見は正しいのだろうと考えている。 また、低線量放射線の影響については、原発事故前から存在する放射線源による放射線の影響と殆ど有意な差はない、というのが私の認識だ。
従って、原発事故由来の放射性物質からの放射線で鼻血が出る、という意見はだいぶ不正確と言えるし、結論が先にあって、科学的な論考を敢えて行わずに出した感情論と受け取っている。
水俣病で原因が特定されるまでに、 東工大などの所謂政府よりとされた学者から「有機水銀は原因ではない」旨の報告が為されるなどの先例をみると、政府や有力な識者の意見が今後も正しいとは限らないのだが、自らの判断として「原発事故由来の放射線により鼻血がでる」という説は誤りだろうと思う。1)
尚、この件で、小学館に対し発行禁止処分を求める動きがあるが、私はこれには反対したい。確かに非科学的で、福島県に住んでいる方々の中には不快に思う方もいらっしゃるだろとは思うが、意見表明の自由は保障されていた方が良いと思うから。 誤った意見には批判的意見で対抗したい。
雁屋哲氏に対しては、漫画「美味しんぼ」は話題集めを主目的としており、調査や論考の正確さは低く、漫画でとりあげられた批判対象やその周辺の人たちに与える影響をあまり冷静に考えてはいないのだと感じた事を伝えたい。